「必ず大成する」と現地記者ら絶賛 ブライトン三笘薫、スーパーゴールを生んだ“距離と力”
攻撃時は厳しいマーク、守備時は数的不利に苦しんだレスター戦
プレミアの偉大な選手たちを彷彿とさせるゴールを決めたことで、さぞや自信を付けただろう。そんな思いを抱きつつ、カスターニュにマンツーマンでマークされたことについてトピックを移すと、三笘の口調は急に厳しいものへと変わった。
「(今日の試合は)ちょっと難しかったですね。エストゥピニャンとの関係も今までになく悪くて。なかなか前を向いて良い形で運べなかった。(センターバックのルイス・)ダンクからのパスはありましたけど、そこしかない(ロングボールしかない)くらいで……。もうちょっと工夫が必要だと思いました」
守備に関しても難しさを強いられていたようだ。
「相手は攻撃時に3枚、こっちのサイド(左サイド)に人数かけてきたので、そこでちょっと後手に回っていた。そこを早く修正しなければならなかった。まあ正直、失点にはどっちも絡んではいるんで、そこをなくせば勝てた試合だったと思います」
際立った活躍を続けて注目されるなか、今後は敵の対応が厳しさを増すだろう。そのことについては、どう考えているのだろうか。
「僕の立ち位置を修正すればいい話。もう1列後ろに下がるか、逆に中に入って相手のマークの受け渡しを分かりにくくするという対策は考えています。(今日は)ちょっと裏に走ることを意識しすぎて、相手と近くなることが多かった。そういうところは毎試合変えていく必要があります」
そうした相手のマークを幻惑するためのポジションチェンジを行うには、トップ下やボランチ、またはセンターフォワードの役割も臨機応変にこなす必要性が生まれてくるだろう。しかし、自身のさらなる成長を見据える三笘の中では、すでに折り込み済の課題だったようだ。
「左サイドのプレーだけじゃなくて、中に入ってプレーすること。ビルドアップへの参加や、守備もどんどんやって、改善していかなければならないと思う」
豊富な運動量でピッチを支配し、ボールのオン・オフにかかわらず常にチームの勝利に貢献できる選手――。三笘本人が思い描くイメージの完成形を代弁するとしたら、こんなところだろうか。
三笘がプレミアで「今日は全てが本当に良かった」と言い切る試合を観られる日はいつ訪れるのか。追い求める理想が高いだけに、一朝一夕とはいかないだろう。しかしだからこそ、この日本代表MFからますます目が離せなくなってしまうのだ。
(森 昌利 / Masatoshi Mori)
森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。