サガン鳥栖が主力の大量流出阻止→タレント獲得 “NEXT鎌田大地”誕生も秘めた新チームへの期待感

日本代表戦士の輩出へ指揮官も意欲「ずっと思ってること」

 そうした選手たちの意欲を汲んで、川井監督に鳥栖から日本代表の選手を出すことの意味を聞いた。

「僕が指導者を始めてから、ずっと思ってることですね。女性だろうが男性だろうが、何十歳だろうが、日の丸というものを。ナショナルチームに入りたいというのは選手である以上、そこは目指してほしいです。そこに入った時に活躍できる選手というのを大前提で、僕は指導させてもらっているので」

 さらに川井監督は「鳥栖というチームが、そういう可能性のある選手たちが多いかもしれない。そういうふうに見られているのであれば、それは間違いではないですよというのを、僕がちょっと手助けして、証明してもらいたいなと思っています」と語ってくれた。無論、代表選手を選ぶのはA代表の森保一監督だったり、パリ五輪世代の大岩剛監督だったりするが、川井監督にはチームで良い結果、パフォーマンスを出した先にその道が開けてくるという自負がある。

 鳥栖といえば、カタールW杯にも出場した鎌田大地が高卒から3年間在籍して、キャリアのベースを築いたクラブでもある。鎌田は鳥栖に対する恩義や愛着を忘れることなく、ことあるごとに名前を出している。そして、カタール行きこそ叶わなかったが、東京五輪に出場し、現在ベルギーで活躍する林大地も世界で活躍することで、クラブの名前を広めようとしている“鳥栖ファミリー”の1人だ。

 沖縄のキャンプに参加している選手たちから“NEXT鎌田大地”が出てくるかどうかと問われたら、筆者は「YES」と答えたい。もちろん、同じタイプという意味ではなく、鎌田のように世界で活躍し、日の丸を背負うような存在という意味だが。そうした選手が3年半後に鳥栖に在籍しているかは分からないが、川井監督の下で成長するために切磋琢磨する選手たちの中から、そこに行き着く選手が出てくる可能性は確かに感じる。まずはJリーグの新シーズンに向かうチームの熱を楽しんでいる。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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