堂安所属フライブルク“4位躍進”の秘訣 選手から止まない称賛…「サッカー界最高の監督」の手腕とは?
イタリア代表MFも監督を信頼「みんなを毎日のように成長させている」
2022年の最優秀監督にも選出されたシュトライヒ監督。選手からの信頼は極めて厚い。イタリア代表に選出されるまでに成長したグリフォがそんな思いを代弁していた。
「彼がいなかったら今の僕はない。僕の力をここまで引き出してくれた。僕だけじゃない。物凄いエネルギーでフライブルクのみんなを毎日のように成長させているんだ。凄いことことだよ。僕にとってクリスティアン・シュトライヒはサッカー界で最高の監督だ。C・ロナウドやメッシが最高のプレーヤーなのはなんでだ? それは彼らが『成長し続けたい』という気持ちをいつでも持ち続けているからだ。
指導者としてのクリスティアン・シュトライヒも一緒なんだ。どれだけすでに優れた選手でも、いつでもさらに成長させてくれる。代わりとなる指導者はいないよ。ユリアン・ナーゲルスマン(現バイエルン・ミュンヘン監督/元ホッフェンハイム監督)だって代わりにはならない。
誤解してほしくないのは、ホッフェンハイム時代にあまりプレーできなかったけど、僕と彼との間に問題があるというわけではないんだよ。友だちグループでも一緒でしょ。みんな仲良しだけど、そのなかでも波長がすごく合うベストフレンドがいる。僕とシュトライヒ監督はそんな感じなんだ」
どんな時でも妥協せずに選手を成長へと導く指導者を慕うのはグリフォだけではない。みんなが監督を心から信頼している。監督やコーチの助言に耳を傾け、そして確かな成長を遂げていく。
「僕らフライブルク躍進の秘訣の1つは、みんながものすごくアドバイスにオープンで、上手くいっている時でも適切な自己批判的な視点で見ることができることだ。それが僕らの成長にとって極めて助けになっている」(グリフォ)
堂安もそうだ。試合を通して攻守両面で実に効果的なプレーができるようになっているうえ、シーズンを通してコンスタントにハイパフォーマンスを披露している。良いプレーをしたあとでも自分と厳しく向き合い、飽くなきハングリー精神でさらなる成長を渇望している。
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。