4年ぶりの1トップに本田が明かした葛藤 「スピードがなくても点が取れると証明したいが…」

ワンタッチアシストに「セロトップ風味。周りが点を取れる」

 4年ぶりに日本代表の1トップを務めたFW本田圭佑(ACミラン)の自己採点は50点だった――。

 11日に行われたロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選オーストラリア戦で本田は1トップとして先発。前半5分FにはW原口元気(ヘルタ・ベルリン)の先制点をアシストして意地を見せた。「サイドと求められている能力が違う。それは50点くらいしかならないですね」とミックスゾーンで葛藤を語った。

 バヒド・ハリルホジッチ監督はイラク戦で左足首を痛めたFW岡崎慎司(レスター)をベンチに置き、4-2-3-1の最前線に本田を置く決断を下した。2012年10月9日のポーランド遠征で行われたブラジル戦(0-4大敗)以来となる1トップ出陣。本田は9月のタイ戦で決定機を空振りし、今月6日のイラク戦でも決定的な仕事をこなせなかっただけに、是が非でも結果が欲しい一戦だった。

「自分の中である程度、腹をくくって、自分の特性ではないと分かっている右サイドで気張ってやってきているということがある。スピードがなくても点を取れるというのを証明したいととやっていく中で、ぶっつけ本番でFWをやることもある。サイドと求められている能力が違うんで、それは50点くらいしかならないですね、悔しいけど」

 本田は2014年1月にACミランに移籍後、右ウイングか右の攻撃的MFとして起用されてきた。イタリアメディアではスピードのあまりの欠如から「創造性なし」「抜けないウインガー」と酷評され、歴代の指揮官からは攻守のバランサーとして評価されてきた。今季ヴィンチェンツォ・モンテッラ監督の政権下で、リーグ戦全試合先発落ち。出場機会は19分と完全なベンチ要員となっている。

 本田は自分のスピードの欠如を自覚しながらも、ゴールを決めることで評価を覆そうともがいてきた。その中で、サプライズ人事だった。最前線でのプレーでできることをやろうと奮闘した。前半5分のことだ。高い位置からのパスカットからMF長谷部誠(フランクフルト)の縦パスを受けるとワンタッチで、全速力で走り込んだ原口へとパスを送り込んだ。先制点を導いた。

「オレが持った時、元気がいつも動き出しすぎる傾向があった。『もう一個(タイミングを)ためて出したい』と話していた。一個遅れて出たことがオフサイドにもならずにDFの重心をうまく逆を取れたんだと思う。あんなすぐに結果として現れるのは久しぶりだと思う」

 このように先制点のシーンを満足そうに振り返った。本田の最前線起用は16強進出を果たした2010年南アフリカW杯で大きな成果を残した。4年ぶりの1トップとなった本田だが、ある程度の理想形も心に描いている。

 

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