岡山学芸館2年生GKが躍動! プロゴルファーの父「日本一を取るしかないぞ」と激励、県勢初V快挙に笑顔
2年生GK平塚仁が随所で好パフォーマンス披露、選手権初Vへ導く
第101回全国高校サッカー選手権は1月9日に国立競技場で決勝戦が行われ、岡山学芸館(岡山)が東山(京都)に3-1で勝利し、岡山県勢としても初優勝を飾った。チームの守護神は2年生GK平塚仁が務め、準決勝の勝利に導いたPK戦での活躍やハイボールへの対応の良さが際立った。
岡山学芸館は押し込まれる展開ながらも前半25分に先制。ハーフタイム直前に追い付かれたものの、後半に2得点して突き放した。東山にはロングスローを得意とする選手がいて、さらに1点リードだった残り10分ごろには長身選手を増やしてきた。そうしたなかで、「自分たちは平均身長も高くないので、上のボールは(自分が)戦わなければいけない」と決意した平塚のハイボールへの強さがチームを助けた。
積極的に飛び出していくだけでなく、クロスの落下点への読みの正確さが目を引いた。正しいポジションに入るからこそ、184センチの身長も手を使うことが許される利点も生きる。そして、掴んだボールを離さないボールハンドリングの技術も光った。しかし、これは元からのストロングポイントではなかったのだという。
FWやウイングでプレーしていた小学校4年生の時に、チームに1人しかいなかったGKが退団してしまったのが転機になった。そこで「僕がやろうと思った」というのがGKのスタートだったが、中学で所属したクラブチームではハイボールの処理が上手くできず、1人だけコーチが手で投げたボールを受ける悔しさも味わったという。それでも、「GKコーチがハイボール処理を大切にしていて、練習の4割くらいは使っていた」という環境で力を伸ばした。それは、間違いなくこの全国の舞台でも生きただろう。
3回戦では國學院久我山(東京A)と0-0からのPK戦で勝利し、準決勝では神村学園(鹿児島)と3-3からのPK戦で勝利した。特に準決勝では、卒業後にドイツ1部ブンデスリーガのボルシアMG入りが決まっているFW福田師王のPKをストップした。この決勝では、卒業後にセレッソ大阪入りが内定のMF阪田澪哉の鋭いヘディングシュートを、わずかに中指で触れてコースを変えるファインセーブ。「プロに行く選手たちと対等に戦うことができた」と喜んだ。
平塚の父は2003年から11年にかけ日本のプロゴルフツアーで6勝している平塚哲二さん。決勝前日の夜には「ここまで来ちゃったな、ここまで来たら日本一を取るしかないぞ」と激励を受けたと話す。幼少期に父が優勝する姿を見た記憶もあるという平塚は、これで競技は違えど親子で日本の頂点に立ったことにもなった。
まだ2年生だけに、狙うのはここからさらに力を伸ばしてプロから声が掛かること。キックの正確性も持ち、攻撃的なGKとして知られるブラジル代表エデルソンが好きな選手と話す平塚だが「もっとシュートを止められる、バランスのいいGKになりたい」とも話した。岡山県勢として初の日本一に導いたこと、福田や阪田をストップしたことでも名前を売るのには成功した。高校サッカーの頂点に立っただけでなく、今後の成長が楽しみなGKとも言えるはずだ。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)