東山GK佐藤瑞起、決勝進出を呼び込んだ“PK2本ストップ”の舞台裏を告白 「前の試合で逆に蹴ってたので…」
PK戦の末に大津に勝利した東山、GK佐藤瑞起が明かしたPK戦の駆け引き
ペナルティーキック(PK)戦で2本セーブし、東山(京都)を決勝に導いたGK佐藤瑞起は「PK戦で負けてしまっても負けは負けで、強いチームはPK戦でも絶対勝つと思うので。PK戦になったら自分が絶対止めてやるという強い気持ちがありました」と熱戦を振り返る。
1月7日に国立競技場で行われた第101回全国高校サッカー選手権の準決勝第2試合は、東山と大津(熊本)が1-1とスコア譲らず、PK戦の末、東山が大津にPKスコア4-2で勝利。東山のGK佐藤はこのPK戦について、前線の選手に感謝しつつ、絶対に勝ってやろうと臨んだと話す。
「自分が1失点してしまったので、チームに迷惑かけてると思ったんですけど、前の選手が点を取ってくれて、追い付いてPK戦にもつれ込んだんですけど。絶対自分が止めて、勝ってやろうと思っていました」
そんなPK戦は大津先攻でスタート。ともに1人目が決めて迎えたのが、大津2人目のキッカーMF真田蓮司だった。佐藤は真田のPKについて研究していたと振り返る。
「初めに止めた選手(真田)は前の試合(前橋育英とのPK戦)で逆に、(GKから見て)右に蹴ってたので、次は左に飛んでくると考えて、右に足を出してから左に飛びました」
逆方向に飛ぶと見せかけて、誘った方向に蹴らせた佐藤ではあるが、PKの事前情報に過度に依存することはしなかったという。
「相手の情報も少しは取り入れて、最後は自分の思うほうに飛べということで。最後は自分に任されているので、最後は自分の意思で止めました」
まずは1本止め、大声で喜びを爆発させた佐藤は、大津4人目のMF中馬颯太のPKもストップした。
「1本止めたので、もう1本止めたら、みんな決めてくれると信じてたので。もう1本止めることに集中して4人目に挑みました」
このPKをストップした佐藤の働きに報いるかのように東山は4人目のMF松橋啓太が決めて4-2で勝利。2戦連続でPK戦を制することとなった。
PK戦対策で何か意識して練習していることがあるのか聞くと、佐藤は苦笑いしつつ決勝があるのでと、言葉を濁していた。
「それもやっぱりあるんですけど、まだ決勝戦、何があるか分からないので、やっぱり自分が一番集中して入れる時に、PKに入ろうと思ってます」
決勝に向け佐藤は「PK戦で勝てることができて良かったんですけど、やっぱり次の決勝に向けて、またすぐ切り替えていきたいと思います」と発言。目標だった日本一になりたいと力強かった。
「高校入学当初から掲げていた日本一なんですけど、もうそこに、あと1勝で届くところに来ているので。絶対に簡単な試合にはならないんですけど、チーム一丸となって必ず勝ちたいです」
大津を退けた東山が1月9日の国立競技場での決勝で対戦するのは、こちらもPK戦で勝ち上がった岡山学芸館(岡山)となる。
江藤高志
えとう・たかし/大分県出身。サッカーライター特異地の中津市に生まれ育つ。1999年のコパ・アメリカ、パラグアイ大会観戦を機にサッカーライターに転身。当時、大分トリニータを率いていた石崎信弘氏の新天地である川崎フロンターレの取材を2001年のシーズン途中から開始した。その後、04年にJ’s GOALの川崎担当記者に就任。15年からはフロンターレ専門Webマガジンの『川崎フットボールアディクト』を開設し、編集長として運営を続けている。