「今まで見たことがない」 イングランド代表名手が明かすブライトン三笘のリアル評
「あの1対1で見せる能力はセンセーショナルだ」
そんなチャンスは2023年の年明け早々に巡ってきた。現地時間1月3日に行われたプレミアリーグ第19節のエバートン対ブライトン。ブライトンがアウェーで4-1と快勝した試合後、三笘がミックスゾーンで記者団に囲まれるなか、その側にいたララーナは行き場をなくした様子でクラブ関係者と雑談を交わしていたのだ。三笘の取材を終え雑談が一区切りしたところで、「ちょっとだけ話を聞かせてもらってもいいかな?」とララーナに話しかけてみた。
「もちろん、でも僕でいいのかい?」と茶目っ気たっぷりに取材を快諾するララーナ。筆者は「いいどころか、君でなければならないんだ。だって、プレミアで4人の日本人選手とチームメイトになったのは君だけなんだから」と話しかけた。すると、「リー、マヤ、タキ、そしてカオル……」と指を折って数え、飛び切りの笑顔を浮かべて「本当だ!」と小さく叫ぶと、“ご名答!”とでも言うように筆者を指差した。
そんなララーナの屈託のない笑顔に勇気づけられたこともあり、「三笘をどう思うのか?」と単刀直入に尋ねてみた。まずララーナは、これまで一緒にプレーした日本人選手全員が「素晴らしいプロフェッショナルだ。みんな真摯にフットボールと向き合う」と一言。三笘についても「カオルだってその例に漏れず、常に謙虚な姿勢で練習に取り組んでいる」と言及し、さらにこう舌を巻いた。
「あの1対1で見せる能力はセンセーショナル(衝撃的)だ。カオルは驚くほど簡単に相手を抜き去ってしまう。まるで『スロープを華麗に滑るスキーヤー』のように、右に左に軽やかに動いて、相手を置き去りにしてしまう。あんなプレーをする選手は今までに見たことがない」
たしかに三笘のドリブルは左右の切り返しが速く、相手はその動きを分かっていても抜かれてしまうところがある。ここで特筆すべきなのは、現在のサッカー界で最高のドリブラーの1人とも称されるリバプールのエジプト代表FWモハメド・サラーとプレーしたことのあるララーナが、三笘のドリブルを「今までに見たことがない」と断言したことだ。リバプールだけでなくイングランド代表としても世界トップクラスの選手たちと対戦、また共闘したララーナだからこそ、その口から語られた言葉は“最大級の賛辞”と言える。
森 昌利
もり・まさとし/1962年生まれ、福岡県出身。84年からフリーランスのライターとして活動し93年に渡英。当地で英国人女性と結婚後、定住した。ロンドン市内の出版社勤務を経て、98年から再びフリーランスに。01年、FW西澤明訓のボルトン加入をきっかけに報知新聞の英国通信員となり、プレミアリーグの取材を本格的に開始。英国人の視点を意識しながら、“サッカーの母国”イングランドの現状や魅力を日本に伝えている。