森保監督続投で日本代表に課せられる“ノルマ” W杯2大会連続指揮の各国監督データが示すものは?
2024年以外のアジアカップに求められるのは優勝
この4つのケースに共通して言えるのは、各チームとも2つの大会の間に必ず実力を見せつける戦いを行ってきたということだ。もちろん大会前と本大会の成績は必ずしもリンクすることはないが、監督への求心力を保つためには必要だろう。
実は、その点が森保監督の1期目には欠けていた。2019年アジアカップ決勝ではカタールに完敗し、E-1選手権でも韓国に敗れた。同年のコパ・アメリカ(南米選手権)は五輪を意識したメンバーで挑んだとはいえ1勝もできず、2021年にスタートしたW杯アジア最終予選では最初の3戦で2敗を喫した。
それぞれの大会で森保監督にとっては達成すべきポイントをクリアしていたのかもしれないが、手腕に疑問符が付いていたのは確かだった。それが本大会での相手チームの油断を誘ったのかもしれないが、手の内を明かしてしまった以上、次は当然警戒される。
それでも成績をカタールよりも上げるためにはチームの成熟度を増すしかない。そうすると必然的に好ゲームが増えるはずで、対戦成績も向上するはずだ。
2021年11月にはW杯アジア2次予選が始まるものの、前回の2次予選も大差で勝ち抜いているため、そこでの成績で判断することはできない。となると、森保監督がドーハで示した手腕を発揮し、あるいはそれ以上の判断力を見せなければいけないのは2024年1月に変更されると噂されるアジアカップになる。
2024年アジアカップに求められるのは優勝以外の何物でもない。できればイラン、韓国、オーストラリア、サウジアラビアという2022年大会に出場したアジア勢をすべて打ち砕き、全勝で優勝を果たすこと。これほどでなければ、2大会連続で指揮を執りながらも成績を落としてしまったほかの監督と同じ結果が待っているかもしれない。
しかも、次のアジアカップの開催地はカタール。ドーハで勝って、アメリカ(・カナダ・メキシコ)行きを決め、2022年の熱狂を再びもたらしてほしいものだ。
森 雅史
もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。