176センチの守護神が守り抜いた80分間 PK戦でも窮地を救った東山GKへ仲間が口にする感謝の言葉「今日は何といっても…」

東山のGK佐藤瑞起【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
東山のGK佐藤瑞起【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

GK佐藤を筆頭に集中した守備で点を割らせず、PK戦を制す

 第101回全国高校サッカー選手権大会は1月4日、浦和駒場スタジアムと等々力陸上競技場で準々決勝4試合が行われ、2年連続でベスト8入りした東山(京都)が、初出場の日体大柏(千葉)を0-0からのペナルティーキック(PK)戦の末4-3で下し、初めてベスト4に駆け上がった。2日間の休養日を挟み、1月7日に東京・国立競技場で行われる準決勝で、前回大会準優勝の大津(熊本)と顔を合わせることになった。

 東山のGK佐藤瑞起は身長176センチ、全国大会に出てくるチームのGKとしては小柄だ。しかし、勝利の立役者の筆頭格がその小兵だった。

 福重良一監督はいの一番に守護神の名を挙げ、「佐藤が活躍してくれました」と称賛。80分の中でも絶体絶命の危機を救った。

 前半11分、日体大柏に鋭い逆襲・速攻を浴び、柏レイソルへの加入が内定している190センチの大型FWオウイエ・ウイリアムに持ち込まれてあわやの一撃を許したが、佐藤の落ち着いた防御で事なきを得た。同39分にもパスをカットされ一気のカウンターを食らい、FW吉田眞翔に決定的なシュートを打たれたが、またしても佐藤が弾き飛ばしてゴールを割らせなかった。

 主将のDF新谷陸斗は「試合を振り返れば、今日は何といってもGKです。相手の良さを出させてしまい苦しめられましたが、GKがよくやってくれて良かった」と佐藤に感謝する。

 東山は阪田澪哉と清水楓之介の両サイドMFが、横から鋭いアタックを仕掛けたが、ゴール前に進出する攻撃陣のプッシュアップがいくらか遅れ、効果的な攻めに持ち込めなかった。前半12分、阪田が豪快な中距離弾を放ったものの日体大柏GK原田眞透のファインセーブに遭った。

 互いに決め手を欠いて前半を0-0で折り返した。東山は後半7分、MF松橋啓太の左ロングスローから、FW豊嶋蓮央がゴール前でヘディングシュートしたが、わずかにバーを越えて得点できなかった。

 後半半ば過ぎからは日体大柏のリズムで進み、快足のオウイエに右から中央から長いストライドで単独走され、何度かピンチを招いたが、相手の最終パスとシュートの精度にも助けられ、0-0でタイムアップの笛を聞くことになった。

 PK戦。先行の日体大柏は第1キッカーが左ポストに当てて失敗し、東山の3人目も枠を外して2-2のイーブンに。4人目はともに成功したが、日体大柏の5番手のシュートを佐藤が右に反応してセーブ。東山は真田蓮司がGKの逆を突いて右隅に流し込んで4-3の勝利を飾った。

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河野 正

1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。

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