「10回戦って3回勝てるか」 大津監督、インハイ王者・前橋育英撃破に感慨…好敵手に気遣い「本来の力が…」
タイガー軍団を封殺、2年連続ベスト4は「熊本の中学校の先生方の協力もあったから」
後半18分に前橋育英の攻撃の軸の1人であるMF小池直矢が、2度目の警告で退場。数的優位にはなったが、「油断するといくらでも失点する恐れがあったので、リスク管理をしっかりしながら戦いました」と碇は、残り時間の試合の進め方を心得ていた。
質の高い前橋育英の攻めを封じ込める戦略は、指揮官も碇と一致する。「相手はディフェンス間に入ってくる人数が多いので、そこをしっかり抑えることが重要だった」と1回戦から猛威を振るってきた“タイガー軍団”を封じて満足そうだ。
両チーム無得点でPK戦に突入。GK西星哉が、先蹴りの前橋育英の2人目のキックを止め、大津は5人全員が成功。2年連続で難敵に競り勝って4強に進んだ。
主将のFW小林俊瑛は「出場停止の浅野(力愛)を国立に連れていくことがチームの合言葉だったので、難しい試合だったけど勝てて良かった。PKは気負わず蹴りました」と振り返った。
昨年は関東第一(東京B)に不戦勝となり、準決勝を戦わずにファイナルに進んだ。山城監督は「10回戦って3回勝てるかという前橋育英に勝てた」と感慨深げに話したあと、「2年続けてベスト4に入れたのは、熊本の中学校の先生方の協力などもあったから。国立(の雰囲気)を知っているのはアドバンテージになる」と熊本県勢としての責任を感じながら、準決勝に臨む心意気を示した。
(河野 正 / Tadashi Kawano)
page1 page2
河野 正
1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。