“夏の王者”前橋育英が擁する「不可欠」なボランチ 精神面は“大人”、「チームのため」を実践する背番号14の実像

前橋育英の14番を背負うMF徳永涼【写真:和田秀太郎】
前橋育英の14番を背負うMF徳永涼【写真:和田秀太郎】

今大会注目ボランチMF徳永涼、チームの柱として攻守において重要な存在に

 前橋育英(群馬)の象徴的な背番号14を昨年から着けているボランチMF徳永涼は、今大会で注目すべき選手の1人だ。徳永がいるといないとでは大きな差になるほど、ピッチ上での存在感は絶大。広い視野から放たれる長短のキックの質はもちろん、球際の強さと読みの鋭さを兼ね揃えた守備はピンチを未然に防ぐ。

 そんな前橋育英の18歳MFが大黒柱たる所以はプレー面だけではない。精神面はまさに大人で、周りを冷静に見ながらも強い責任感で指摘すべきところはきちんと指摘する。夏のインターハイで優勝をしたあともチームが油断をしないように細心の注意を払い、周りに要求し続けた。ただ要求するだけではなく、きちんと自らを律し、「チームのため」を考えての率先した行動で精神的にも牽引した。

「チームになくてはならない存在」と高校サッカー界きっての名将・山田耕介監督から絶大な信頼を集める徳永は、今大会でもチームの柱として攻守において重要な存在になっている。

 1回戦の日章学園(宮崎)戦では先制点を許す苦しい展開となったなか、冷静にチャンスとなる縦パスを入れる姿勢を持ち、失点から9分後の後半19分、右サイドから仕掛けて、ゴール前のFW高足善に正確なクロスを供給して同点弾をアシスト。逆転勝利の糸口を作った。

 2回戦の四学香川西(香川)戦ではFW小池直矢の2点目のゴールをアシストし、6-1の大勝に導いた。そして3回戦の昌平(埼玉)との大一番ではゴールこそ絡まなかったが、開始3分で相手のエースMF荒井悠汰のゴールで先制を許し、浮き足立ってもおかしくない状況で、仲間を鼓舞。プレー面でも持ち前のパスセンスで攻撃のきっかけとなる縦パスを何度も打ち込んで、ペースを相手に渡さなかった。

 徳永に後押しをされる形で前橋育英は圧倒的な攻撃力を見せて、試合をひっくり返してのベスト8進出を果たした。

 国立を懸けて戦う準々決勝の相手は、優勝候補である大津(熊本)。難敵を破って、また難敵という状況だが、「夏を優勝したチームは冬に勝てないと言われないようにきっちりと選手権で優勝して2冠を達成したい」と、徳永はすべてのチームを倒すつもりでいる。

 MF田部井涼(ファジアーノ岡山)、DF角田涼太朗(横浜F・マリノス)、DF渡邊泰基(アルビレックス新潟)らを擁して初の選手権制覇をした2017年度以来の優勝に向けて、徳永の存在感はますます大きくなるばかりだ。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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