「怪我で苦しんで…」 J1入り内定の日体大柏エースが着用した“もう1つのユニフォーム”

飯塚戦で決勝ゴールを決めたFWオウイエ・ウイリアム【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
飯塚戦で決勝ゴールを決めたFWオウイエ・ウイリアム【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

柏入り内定のFWオウイエ・ウイリアム、飯塚戦で決勝ゴールの活躍

 エースによる待望のゴールだ。第101回全国高校サッカー選手権大会は1月2日に各地で3回戦を行い、日体大柏(千葉)は飯塚(福岡)に1-0で勝利した。この試合の決勝点を挙げたのが、来季からJ1の柏レイソルへの入団が内定しているFWオウイエ・ウイリアムだった。

 得点が決まったのは前半20分、相手MF村井天の横パスが中途半端になったところをオウイエがカット。そのままドリブルでボールを運び、GKの重心を崩して最後は左足で冷静にコントロールされたシュートをゴールに流し込んだ。ゴールを決めたオウイエは、「難しい試合になることは最初から分かっていたなかで、絶対にチャンスが1本来ると思っていた。そこを決め切れて、とてもよかったです」と喜び、「ここからノリにノって、得点王を目指したい。あと3試合あるので、どこかでハットトリックを決めて計6得点くらいはいきたい」と、決意を新たにした。

 ゴールシーンについて「良い守備から相手のミスを誘うことができて、ボールが転がってきたので、冷静に流し込むだけでした」と、振り返る。高い位置からの守備について「リーグ戦や選手権予選でも、守備は大事と言われてきた。しっかり守備から入れてミスを誘えて、狙っていたとおりのことができてよかった」と話す。元々サイドバックでもプレーしていたオウイエは「相手が(パスを)出す方向だったりは、結構。予測しやすい」と、守備的なポジションをやっていた経験が生きていることも話した。

 初戦の芦屋学園(兵庫)戦(3-1)、2回戦の丸岡(福井)戦(2-0)で、ゴールのなかったストライカーは、この試合に向けて自身のユニフォームの下に、寮生で一緒だった3年生の加藤瑛士の28番の番号が付いたユニフォームを着こんでいた。

「1、2回戦は着ていなかったのですが、絶対に自分が点を取ってヒーローになるんだぞっていう気持ちで今日着たら、たまたまボールが転がってきて、点を決めることができて、思いどおりにできました。(加藤は)怪我で苦しんで、メンバーに入れなくて、そういう気持ちを背負っているんだぞ。みんなの分まで背負って戦うぞという意図だった。やっぱりチームメイトの応援だったり、連絡だったりがあると、自分がもっとやらないといけないと思う」と言い、「次も着ます」と笑いながら、ベスト8でもゲン担ぎをすると明かした。

 日体大柏からJ1柏という進路は、昨年10月に急逝した元日本代表FW工藤壮人さんと同じ。工藤さんは柏レイソルの下部組織出身だったものの、サッカー部の指導にも訪れていたという。「身体がデカいから、その身体を使っていい。自信を持っていいんだぞ」とアドバイスを受けたという。

 チームメイトやOBからのサポートも力に、選手権の舞台でゴールを挙げたストライカーは、この先の戦いで自信の思い描くプランを現実のものとすることができるだろうか。

(河合 拓 / Taku Kawai)



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