前回王者・青森山田、3回戦苦戦に見た“攻撃課題” 選手は反骨精神を吐露「色々な人が今年は弱いとか言っているけど…」

【写真:中戸川知世】
【写真:中戸川知世】

黒田総監督と正木監督が反省点を述べる

 第101回全国高校サッカー選手権は1月2日に各地で3回戦の試合が行われ、青森山田(青森)はペナルティーキック(PK)戦の末に国見(長崎)を下して準々決勝へと進出した。その苦戦の要因は攻撃の内容にあると試合後に声が揃った。

 全体的に青森山田の支配率が高くなった、前半アディショナルタイムにスコアが動いた。右のコーナーキック(CK)を中央に入れるとDF三橋春希がヘディングでゴール。2回戦に続く連続得点で1-0のリードを奪って折り返した。しかし後半27分、左サイドからのアーリークロスをFW利根悠理が合わせられて同点に。試合終了間際にPK戦を見据えて投入したGK鈴木将永の活躍でPK戦のスコア4-2で勝ち上がったが、課題の多い試合展開になった。

 正木昌宣監督は、この要因を「いい攻撃ができないと、いい守備ができない」と表現した。そして「いい攻撃の後はいい守備ができて、武器であるカウンターも生きてくる。ただ、攻撃が単発で終わりがちになってしまった」と説明した。

 新シーズンからJ2町田ゼルビアへの監督就任が決まり、青森県予選後に監督の立場を譲った黒田剛総監督はより具体的に「攻撃が全部ドリブルになってしまっている。単発で仕掛けて取られ、(相手の)前残りのFWにボールが入る。2人、3人と関わることで相手が下がることもある。ボールを追いこす、あるいはスッと止まって横に入ってあげるなど2人、3人が絡むことをしていなかった」と課題になった部分を説明した。

 攻撃の終わり方が良くなることは、相手ボールのスタートが苦しい状況になることにつながる。それによってプレスも機能しやすくなり、相手を敵陣に押し込める相乗効果を生むこともある。その状況に持ち込むことができなかった。

 準々決勝では、卒業後のドイツ1部ボルシアMG入りが内定しているFW福田師王、セレッソ大阪入りが内定しているMF大迫塁を擁する神村学園(鹿児島)と対戦する。正木監督は「注目される2人だが、全体に質が高い。ただ、(高円宮杯)プレミアリーグでそういう相手とも対戦してきた」と自信を見せる。また、センターバックの三橋も「自分たちは選手権が始まる前から神村学園とやりたかった。その2人を徹底的に抑えて、色々な人が神村が上とか山田が今年は弱いとか言っているけど、逆にそれがパワーになる。3年生の最後にそんなことを言われたら悔しいですから」と、反骨精神を言葉にした。

 苦しみながらも勝ち上がった前回王者と強力な2枚看板を擁する鹿児島の雄の対戦は大会でも屈指の好カード。青森山田の連覇のためには、課題を克服しつつ大きな壁を乗り越えなくてはならない準々決勝になりそうだ。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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