PK戦に泣いた尚志、終始攻めたチームの“未熟さ”を指揮官が実感 「感情が全くコントロールできず…」
両サイド攻撃を中心に攻勢も得点を奪えず0-0、直近4大会連続のPK戦へ
1点が遠かった。尚志(福島)は2022年12月31日に行われた第101回全国高校サッカー選手権大会2回戦の国見(長崎)戦で、相手を圧倒しながらも得点を奪えず。0-0で迎えたペナルティーキック(PK)戦を3-4で落とし、大会を去ることとなった。これで選手権は出場した直近4大会連続のPK戦による敗退。国見を相手に数多くのチャンスを作った尚志だったが、試合後の仲村浩二監督はどこまでも厳しかった。
公式記録上、前半のシュート数は両チームともに1本ずつ。だが、MF吉満迅、MF安斎悠人の両サイドアタッカーの突破を中心に、アタッキングサードへボールを運ぶ回数では尚志が上回っていたように感じられた。
しかし、仲村監督は言葉を選びながら「若い子たちが多かったこともあるのですが、感情が全くコントロールできずに、自分のやりたいことをやり始めていた。チームプレーとして、全く成り立っていなかったのが、上手くいかなかった理由だと思う。自分たちのところで、いろいろレフェリーのせいにとか、自分に向けずに人に向けてイライラしていた。大人になれていなかった」とコメントした。
チームの大黒柱であるキャプテンのDF山田一景は、相手との接触で負傷して前半30分でベンチに退いた。精神的支柱を欠いたことが、修正をはかるうえで影響があったかと問われた仲村監督は、「キャプテンも含めて、やっちゃいけないプレーがあった。怪我をしたプレーも、しょうがないプレーじゃなかったと僕らは判断している。行かなくていいところで余計なことをして、(怪我に)なっている。そういうのも含め、すべてがマイナスだった」と悔しがった。
また、前半22分には安斎の突破からチャンスを作り、折り返しをゴールネットに突き刺した。しかし、安斎のドリブルがゴールラインを割ったと判定され、ノーゴールの判定に。すぐにリスタートされたが、安斎は副審に抗議をしているようにも見えた。
「あれも旗が上がっている。レフェリーがいて、サッカー選手。レフェリーがいなければ、ゲームは成り立たない。レフェリーを信じないといけないのに、言ってはいけない。高校生がああいうふうにレフェリーに抗議をするっていうことは、僕はあってはいけないと思っている。ああいうところがコントロールできなければダメ。あれは、あれでしょうがない。僕らもベンチからラインが見えるわけではない。次に切り替えて、ちゃんとしたゴールを取ればいいし、そういう心になってほしい。そうすれば、次へ、次へって行ける。そういうところをもっともっと鍛えないといけない」
初戦で3-0という勝利を収めたことで、浮足立ってしまったところがあると分析する。「この大会がやっぱり大きくて、1回戦に勝った時にいろいろな人に褒めてもらい『プロ注目だ』とか言われると、学生は変わってしまう。それを僕らがコントロールできなかった。田舎ものでした、本当に」と肩を落とした。
それでも、先発11人のうち5人が2年生という尚志は、この経験を来年に生かすことができるはずだ。「今日、試合に出られなくても頑張ってサポートしてくれた立派な3年生がいる。その人たちが残してくれたプレミアリーグを戦い、1月から3月まで尖ったような状態にしていく。残っている選手にも良い選手がいて、(ポジションを争う)ライバルが全部残っている。そして、また選手権に来る頃には、心もしっかりついてくるような、すごいチームを作りたい」と、指揮官は1年後のリベンジを誓った。
(河合 拓 / Taku Kawai)