「昌平らしい戦いができた」 エース不発も難敵・近江に競り勝てた理由は?
篠田が2ゴール、伊藤が1ゴールとエースの代わりに活躍
想像以上の難敵を下して3回戦に進んだ藤島監督は、「2年前の選手権は無観客だったので、こういう環境は大半の選手が初めての経験。消極的なプレーが出てしまった」と初戦の難しさを口にしながらも、「篠田も伊藤も良かった。80分で勝負を決めたかったので、流れを変える力のある伊藤を起用しました。今年は失点しても、負けていても、試合中に修正できるチームなんです」と誇らしそうにイレブンの粘り強さを称えた。
守備ラインをまとめた津久井は、「個人的には最近で最高のパフォーマンスでした。今日も昌平らしく我慢強い試合ができた」と喜んだ。
勝ち越し点を決めたがベンチにも駆け寄らず、その場でささやかなガッツポーズを作っただけの伊藤は「走り回って喜びたかったのですが、あの時は体力的にきつかったんです」と笑わせ、「ニアに蹴る練習をしてきましたが、練習よりもいいシュートでした」と破顔一笑。3点目のアシストも記録するなど、監督の期待に見事に応えた。
対照的に「選手権では毎試合得点し、自分がチームの勝利に貢献したい」と話していた荒井は「前半に飛ばし過ぎて上手くいかなかった。今日は篠田や伊藤に助けてもらった。チームが勝ったのは嬉しいが、個人的には悔しいので、切り替えて次はもっと活躍してチームを助けたい」。エースは捲土重来を誓った。
(河野 正 / Tadashi Kawano)
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河野 正
1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。