2点を呼び込んだ日大藤沢DFのロングスロー “相手対策”から一転して“チームの武器”に
日大藤沢DF片岡大慈のロングスローから2点、団結力と一体感が現われた一戦に
第101回全国高校サッカー選手権は12月31日に各地で2回戦の試合が行われ、日大藤沢(神奈川)が夏のインターハイで4強入りした米子北(鳥取)に2-1で逆転勝利。2点を導き出すロングスローを投げ込んだDF片岡大慈の存在は、この日の日大藤沢を象徴していた。
日大藤沢は前半にセットプレーから失点し、0-1のビハインドで後半へ。米子北のコンパクトで強度の高いブロックに苦労していたなかで後半15分に片岡が投入される。神奈川県予選ではベンチ入りが1回のみで、29日の1回戦もベンチ外だった片岡だったが、「素晴らしい準備をしてくれている」(佐藤輝勝監督)とこの日のメンバー入りを勝ち取っていた。
日大藤沢が1回戦で対戦した西原(沖縄)、米子北はともにロングスローを武器とする選手がいたため、片岡のロングスローが相手対策として練習で披露されることもあった。この日、ピッチに入った時に周囲のチームメイトから「思い切って投げてみよう」という声がかかり、後半23分と後半30分のゴールを導く形となる。片岡のロングスローが一転してチームの武器となった。
佐藤監督は「このチームはみんなに可能性がある。(昨日の練習で)片岡が良い準備をして待ってくれた。明日も最後の最後まで見極めないと」と話す。米子北のレベルが高い守備に本来のパスワークを生かし切れたわけではなかったが、「これまでやってきた魅力的なものが出せない時間帯こそ、一体感が求められるんじゃないか」という指揮官の問いかけに選手も応えてみせた。
卒業後の清水エスパルス入りが内定している198センチの長身FW森重陽介も、チームの主将として「今年からスタメンを取ったような選手も多いなか、緊張すると思うのでいつもどおりの雰囲気を作ろうと思っている。いつも監督が全員で準備することを話してくれるし、1人1人の準備がいいと思う。みんなこの舞台で勝ちたいという思いが強いと思う」と話した。
片岡もまた「次の試合も、スタメンでも、ベンチでも、ベンチ外でもチームのためになんでもする」と話す。テクニカルなサッカーから受ける印象とはまた違う、団結力と一体感がチームの武器であることが現れたゲームになった。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)