森保監督続投の日本代表が進むべき道は? カタールW杯データから考える“解決策”
日本はモロッコを手本にすべき?
試合全般で考えると、ポゼッションでは圧倒したように見えたコスタリカ戦でも9%上回ったに過ぎない。引き分けだったクロアチア戦では16%の差を付けられており、ドイツ戦は43%、スペイン戦に至っては63%もの違いがあったのだ。
日本は後半勝負型だったため、すべての試合で後半の数字は改善されている。コスタリカとの差は23%まで広げることができた。ただし、それでもドイツ戦は26%、スペイン戦は49%の差があり、クロアチア戦でも相手のポゼッション率はほぼ50%以上という状態だったのだ。
パスの本数/成功数を見てもコスタリカ戦で上回っているものの、スペイン戦では845本/825本と大きな差を付けられている。コスタリカ戦の日本のパス数/成功数が575本/510本だったことを考えても、どれほどの差があったかというのは明らかだ。
さて、ここで同じベスト16の試合で、日本以外に引き分けになったもう1試合、モロッコ対スペインを見てみよう。モロッコも日本と系統は同じ堅守速攻で勝ち上がっていった。
ポゼッション率は日本よりもやや良くて22%(スペインは68%)、パスの本数/成功数は323本/229本(スペインは1041本/967本)と、こちらも少し日本を上回っていた。そんなモロッコがPK戦で勝ち上がると、アフリカ勢初の準決勝まで駒を進めている。
ここまでのデータを考えると、次のように考えるのが現実的ではないだろうか。
ドイツ、スペインのようにゲームを支配できるようになるには、まだ大きな差がある。4年間で埋まる距離かどうかも分からない。一方でモロッコについては数値的な差が少なく、参考にできる可能性がある。モロッコがカタールW杯で上位に食い込んだ以上、モロッコを手本にしたほうがいいのではないか――。
森 雅史
もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。