国見のサッカーは「変わった」 丸刈り頭の撤廃だけではなかった…12年ぶり選手権での変貌ぶり

「小嶺魂を引き継ぎつつ、次のステップにいきたい」

 その一方で、特に後半、北海に攻め立てられながらも、身体を張ってゴールを守る姿には、伝統を感じさせた。MF桜庭平良に同点ゴールを許して追い付かれたが、それまでの危ない場面での身を挺したブロックがなければ、もっと早くに逆転されていてもおかしくなかった。

 そして1-1で迎えたPK戦でも、1番手が外してしまう状況に陥りながらも気持ちの強さを見せて逆転した。木藤監督は「国見という一種のブランド、小嶺(忠敏)先生が築き上げられたものは、確かにあると思う。そうした小嶺魂を引き継ぎつつ、次のステップにいきたい」と語った。

 12年ぶりに全国大会のピッチに立つ国見の姿を見ることなく、小嶺さんは今年1月に亡くなった。恩師に捧げられる勝利になったかと問われると、木藤監督はすぐに「いや」と否定した。

「もっともっとやらんかという内容だったと思うので。先生に捧げる勝利なんて言ったら『ふざけんな!』と言われると思う。『何をトロトロしているんだ』って言われるんじゃないかなと思います。ただ、今の選手たちは一生懸命やっているので、次も見ていてほしい」

 高校選手権で13年ぶりの勝利を挙げた国見。小嶺さんが離れ、一時は60人程度まで落ち込んだ部員数も、今年は120人に倍増したという。頂点へ近づけば、近づくほど、新たな国見に憧れる子供も増えるはず。スタンドには『古豪復活』の文字も踊ったが、新生・国見は選手権という山をどこまで登ることができるだろうか。

(河合 拓 / Taku Kawai)



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