成立学園が19年ぶり選手権勝利 「感無量」と監督安堵も「ストレス溜まった」と本音
津工との開幕戦を勝利、相手の猛追を2失点で抑える
成立学園(東京B)が3-2で津工(三重)を振り切った。
高校選手権が12月28日に国立競技場での同カードで開幕。17年ぶり3回目出場の成立学園が、15年ぶり3回目出場の津工の猛追を2失点で抑え、19年ぶりの勝利を手にした。津工は選手権の舞台であと1点が遠かった。
成立学園を率いた山本健二監督は、韮崎高校(山梨)時代に選手としても2年時に準優勝、3年時にベスト4と活躍。監督としても手にした選手権での勝利について率直に嬉しさを口にする山本監督は、この勝利を次につなげたいと述べている。
「感無量っていう言葉があるように、もう本当に嬉しいなっていうのが……。内容的には3-0で終わりたかったなっていうのはあるんですけど、1勝できたっていうことは本当に嬉しいなというふうに思って、次につなげたいなと思っています」
勝利した山本監督の表情に険しさが含まれているのは、3-0で津工を圧倒していた試合終盤に2失点したためだ。
「前半はボールを動かせたので、それは良かったんですけど、点を取ったあとに少し相手のペースになって。そこからあんまりいい展開にはできなかったなって思います」
そう反省する山本監督は「そこでしっかりとボールをつなぐことができれば、うちのペースにできたんですけど、ちょっと焦りが出て、どうしても蹴ることが多くなって、相手に拾われるケースが多かった」と課題を指摘。ただ、勝利よりも成立学園らしさが出せたかどうかが基準で、そういう意味でストレスの溜まる試合だったと反省していた。
「1勝できたからというのは、全然考えてなくて。やっぱり自分たちのサッカー、成立らしいサッカーができたか、できなかったかっていうことのほうを追求したいなと。だから今日はストレスがちょっと溜まったなというのが正直な気持ちですね」
とはいえ、パスをつなぐ成立学園のスタイルを貫いて東京予選を勝ち抜いたように、ブレのなさは見事。GK鈴木健太郎を起点として、長短のパスを織り交ぜて前進できている時間帯も長かった。3点をリードするまでは良かったが、2失点後、同点にされかねない拙い試合運びに選手たちは「落ち込んでいましたね。ちょっと雰囲気的にも悪かったんで」と山本監督。「逆に言ったら3-0よりか苦しく勝ったほうが、次にはつながるんじゃないかなって思ってます」と次戦を見据えていた。
(江藤高志 / Takashi Eto)
江藤高志
えとう・たかし/大分県出身。サッカーライター特異地の中津市に生まれ育つ。1999年のコパ・アメリカ、パラグアイ大会観戦を機にサッカーライターに転身。当時、大分トリニータを率いていた石崎信弘氏の新天地である川崎フロンターレの取材を2001年のシーズン途中から開始した。その後、04年にJ’s GOALの川崎担当記者に就任。15年からはフロンターレ専門Webマガジンの『川崎フットボールアディクト』を開設し、編集長として運営を続けている。