日本サッカー史に残るW杯予選「劇的ゴール8選」 アジア勢との戦いで生まれた奇跡の瞬間とは
最大のインパクトを残した“ジョホールバルの歓喜”
日本代表は6日のロシア・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第3節の本拠地イラク戦で、1-1のまま迎えた後半アディショナルタイム5分に、MF山口蛍が劇的な決勝ゴールを決めて2-1の勝利を飾った。W杯への扉を初めて開いた1998年フランス大会のアジア予選から、試合終了間際のゴールで勝利を掴んできた試合も少なくない。劇的なゴールを決めた印象深いゲームを振り返っていく。
最大のインパクトを残したのは、フランス大会出場を決めた“ジョホールバルの歓喜”だ。97年11月16日、アジア第3代表決定戦でイランと対戦した日本はFW中山雅史のゴールで先制したものの、後半に逆転を許した。しかし、途中出場のFW城彰二の一撃で追いつくと、当時の規定でゴールデンゴール方式の延長戦に突入。岡田武史監督は、その快足と長髪の風貌から“野人”の異名を持つFW岡野雅行を、延長戦のピッチに送り込んだ。
しかし、その岡野が延長前半に何度も決定機を外して重苦しい空気が漂うなか、勝利の女神がほほ笑んだのは延長後半13分だった。MF中田英寿がドリブルで持ち込むと、左足で強烈なミドルシュートを放つ。相手GKが辛うじて手で弾いたボールはゴール前にこぼれ、そこに岡野がスライディングで飛び込んで押し込んだ。これが、日本代表が初めてW杯への出場を決めた劇的な決勝ゴールだった。岡田監督が両手を挙げて、絶叫しながらピッチに走っていく姿を記憶している人も多いだろう。
また、その第3代表決定戦に至る過程では、首の皮1枚がつながるギリギリのゴールもあった。1勝2分1敗と苦戦したなかで加茂周監督が解任され、コーチから昇格した岡田監督にバトンが渡った10月11日の敵地ウズベキスタン戦。0-1で迎えた後半アディショナルタイムにDF井原正巳が蹴り込んだボールを、FW呂比須ワグナーが頭でコースを変えると、ボールはそのままゴールに吸い込まれ、1-1の引き分けに持ち込んだ。この劇的なゴールもまた、W杯初出場の礎となった。