ハリルの解任危機を救った殊勲の山口 イラク撃破のゴラッソの伏線となった、ある「ミス」
二回目のシュートが持つ大きな意味
日本代表MF山口蛍(C大阪)は6日に行われたロシア・ワールドカップアジア最終予選イラク戦後半アディショナルタイムに決勝点を挙げて、バヒド・ハリルホジッチ監督の解任危機を救うヒーローとなった。26歳の誕生日を劇的すぎる形で祝ったボランチは、ゴールの伏線にひとつのシュートミスがあったという――。
日本は前半26分にMF清武弘嗣(セビージャ)の右サイドからのラストパスをFW原口元気がヒールで合わせて先制に成功した。しかし後半15分にはセットプレーからイラクMFアブドゥルアミールに頭で合わされて同点に追いつかれた。ハリルホジッチ監督は失点前にMF柏木陽介(浦和)に代わって山口を投入しようとしていたがいったん取りやめた。しかし数分後には山口をピッチに送り出すなどバタバタとした形となった。
「監督からの指示は前からの早い守備に行くことだった。勝たなくてはいけない状況だったんで」
それでも山口は自らのタスクを完遂しようとした。前がかりになるチームの中で相手のカウンターをケア。同点の状況で我慢のプレーを続けた。その山口に絶好機が訪れたのはアディショナルタイムのことだった。パワープレーで前線に残っていたDF吉田がファウルを受け、フリーキックを得た。キッカー清武が中央に入れたクロスはクリアされたものの、走り込んだ山口が右足ダイレクトで蹴り込みゴール。劇的なゴラッソで代表通算2ゴール目を決めた。
「(シュートチャンスはこの日)2回目だったので、とりあえず思い切り振りぬこうと思った。シュートをふかさず、あれ以上力を入れてシュートを打ったら相手に当たってしまうので、上手く力を抜いて打てました」
山口が振り返った「2回目」という部分に意味があった。山口はピッチに投入されたのち、右サイドから清武のクロスに対してフリーで走り込んだ。タイミングの合わないヘディングとなって大きくゴール枠を逸れてしまうミスがあった。そのシーンを本人はこう振り返る。
「キヨ君のクロスをヘディングで行ったんですけど、あれはボレーでいこうかなと思っていた。浮かせてしまうと思ったんで、ヘディングで行ったんです」