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テレビ朝日・寺川アナが語る本田圭佑との掛け合いの“真実” 「“さん”付け」裏話、刺激的な放送席は「想像を超えていた」
最も印象に残るクロアチア戦 むき出しのやり取りに心打たれた「本田さんの目が少し潤んでいた」
数々の掛け合いで注目を浴びたなか、寺川アナが最も印象に残っているのは決勝トーナメント1回戦のクロアチア代表戦。前半終了間際に先制した日本だが、後半に追い付かれると延長戦の末に突入したPK戦で敗退となった。
日本史上初のベスト8入りを懸けたPK戦。その直前、延長後半の終了間際に本田が「PK見ます?」と言い出した。ここからの時間は寺川アナにとって忘れられないものとなった。
「『PK見ます?』というのは何を言いたいかはなんとなくすぐ分かったんですが、どう返したらいいのかと思って、恐らく5、6秒黙ったんです。それで、『どういうことですか?』と聞きました。PK戦は厳しいという話になり、その後本田さんが『楽しく見ません?』と言ったんです。僕も『楽しく見ますか』なんて言っちゃっていて、始まって何本か終わったあとに僕は『やっぱり楽しくなんか見られませんね』と言って、そのまま敗れて……。あの時の放送席のやり取りってすごく人間味があったなと思うんです。僕たちは実況、解説という仕事があって、戦っている選手たちはもちろん勝つためにやっていて、僕たちも勝つことを信じてやっているものの、やっぱりどういう感情で見ればいいのか、と思うところがあった。その感情を探すこと2人で言葉にした。状況がどんどんどんどん悪くなっていったことに対しても、それをどうにか言葉に変えながら、でもすごく丸裸で、逆に言うとすごく生々しい言葉の掛け合いになった。
終わったあと、とても悔しかったし悲しくてつらくて虚無感もあったけれど、同時にむき出しのやりとりがすごく印象に残ったんです。なんの嘘もない。見ている人たちと感情を共有しながら伝えるべき情報を伝えた。そういう放送になったんじゃないかな、とほんの少しだけ思いました。放送席を撮影した映像があるんですが、ディレクターによると本田さんの目が少し潤んでいたんです。本人に聞いたら違うと言うと思うんですが。でも、それだけ本音でやってくださっていたのかなと思います」
サッカーファンにとどまらず多くの共感を呼び、熱を加速させた2人の掛け合い。森保ジャパンを彩り、後押しした愛あふれる言葉により記憶に残る大会となった。この大反響は日本サッカーにとって貴重で大きな財産となったことだろう。
[プロフィール]
寺川俊平(てらかわ・しゅんぺい)/1987年生まれ、東京都中野区出身。2010年4月にテレビ朝日に入社し、2016年~18年には「報道ステーション」のスポーツキャスターに就任。18年~20年は「やべっちFC」の進行キャスターを務めた。また日本代表戦をはじめ、さまざまなスポーツ中継を担当している。
(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)