J1リーグ「新天地組」注目ストライカー厳選 川崎、鹿島、浦和にニューフェイス、飛躍の可能性十分の7人は?

FC東京で鳴りを潜めた山下は、得点力アップがノルマの湘南へ

■山下敬大(湘南ベルマーレ←FC東京)
昨季リーグ成績(J1):15試合0得点

 福岡産の大型ストライカーはJ2のレノファ山口FCで大卒2年目(2018年)に11得点とブレイク。そこからジェフユナイテッド千葉、J1のサガン鳥栖で経験を積み、さらなる飛躍を期したFC東京では、期待された得点力がすっかり鳴りを潜めてしまった。新天地は上位躍進のために得点力アップがノルマとなる湘南だ。

 カタール・ワールドカップ(W杯)メンバーだったFW町野修斗の残留がリリースされたが、山口智監督は3-5-2をベースにするため、町野との“ツインタワー”も考えられる。もっとも184センチのサイズこそあるが、山口では2列目やウイングでも起用されており、最前線に張り続けるタイプではない。ただ、あくまでストライカーなので、フィニッシュの時にボックス内で勝負できるメカニズムをチームで作っていくことが得点量産の鍵になる。

■佐藤凌我(アビスパ福岡←東京ヴェルディ)
昨季リーグ成績(J2):40試合13得点

 大卒から2シーズン連続13得点と目を見張る結果を残してきた。福岡市生まれで、名門・東福岡出身。故郷に錦を飾る形で地元クラブに加入することとなった。179センチと特別大柄なわけではないが、一瞬の動きでマークを外せるレスポンスと点で合わせるセンスを持っている。

 ボックス内で勝負するタイプでありながら、ミドルレンジで決め切るシュート力も備える。福岡は長谷部茂利監督が4-4-2を継続的に使っており、10得点をマークしたFW山岸祐也などとのコンビで、さらに得点感覚を発揮できるかもしれない。

■太田修介(アルビレックス新潟←FC町田ゼルビア)
昨季リーグ成績(J2):40試合11得点

 日体大からアカデミー時代を過ごしたJ2ヴァンフォーレ甲府に加入し、一昨年に移籍した町田でさらに得点力を開花させた。俊敏性があり、サイドハーフやセカンドトップもこなせる前線のスーパーマルチであり松橋力蔵監督の下、豊富な攻撃オプションを準備する新潟に合っている。

 昨シーズンは11ゴールを決めつつ、7アシストをマーク。これは大きなアピールポイントだろう。J1昇格を決めたチームは攻撃的なポジションの選手層が厚い。1人のエースストライカーに頼るようなチームではないので、太田も周囲のアタッカーを生かし、また生かされながら結果を残すことで、主力としての位置付けも見えてきそうだ。

■横山歩夢(サガン鳥栖←松本山雅FC)
昨季リーグ成績(J3):29試合11得点

 2022シーズンは高卒2年目でJ3ながら11得点をマークした。U-19日本代表にも選ばれて、エース級の活躍を見せている。独力で打開できるドリブルと俊足を生かしたラインブレイク、さらに高確率で枠をとらえるシュート力もある。

 松本ではボールを持てばどんどん仕掛けてシュートに持ち込んでいたが、新天地ではJ1ということもあり、さらに周りと絡みながらコンビネーションを引き出したり、合わせる動きも求められてくる。

 来年はU-20W杯なども控えており、代表活動でチームを離れることもあるかもしれないが、U-19代表のキャプテンであるDF中野伸哉などと相乗効果で成長していければ、鳥栖から世界に羽ばたくタレントの1人になっていけるポテンシャルは十二分だ。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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