【W杯】アルゼンチン守護神のPK“心理戦”「予測不可能」 専門家が指摘、盛大な喜びアクションの訳とは
「マルティネスはサッカー界のマキャベリ」
アルゼンチンは2人目も成功し、1本リードでフランスは3人目のMFオーレリアン・チュアメニが登場するが、この前後のマルティネスの行動もまた心理的な影響を与えにいくものだという。
「チュアメニがやってくる前に、彼は歩いていって自分のものであるかのようにボールを拾い上げる。レフェリーとチュアメニを待たせておいて、時間をかけてアルゼンチンのファンを煽る。そして、チュアメニにボールを素直に投げ渡すのではなく、遠くに放り投げて拾いにいかせる。レフェリーからの罰則はない。ちょっと注意されるだけだ。そしてチュアメニが準備したら余裕の笑みを浮かべる。そして、彼は枠外にミスをする。そして、ロリスが同じ駆け引きをできないようにするため、すぐに自分がボールを拾いにいって(次のキッカーの)レアンドロ・パレデスに渡す。ロリスに機会を与えない」
アルゼンチンはパレデスも決め、フランスの4人目にはFWランダル・コロ・ムアニが登場。同教授は「レフェリーに対して、自分の目を指さして何事か『俺は見ていたぞ』と伝えている。そろそろイエローカードも避けられなくなるが、時すでに遅し。マルティネスがこの場を支配した」と指摘する。コロ・ムアニは決めたものの、アルゼンチンは4人目も決めてPK戦を4-2で勝利した。
同教授は「マルティネスのマインドゲームは巨大で予測不可能なものであり、なおかつ計算されている。彼はサッカー界のマキャベリ(目的のために手段を選ばない人物)であり、彼のマネをする人物も、彼への対抗策を生み出す人物も生み出す。W杯という世界最高のステージで披露されたことで、こうしたものが今後どう進化するか楽しみだ」とまとめていた。
アルゼンチンはオランダ代表を相手にした準々決勝でもマルティネスが2本止めてPK戦を勝利していた。日本代表が決勝トーナメント1回戦でクロアチア代表に敗れたことでPK戦がクローズアップされた大会でもあったが、こうした強烈な心理的駆け引きを仕掛けてくるGKからもゴールを奪わなければW杯のPK戦は勝利できないということだとも言えそうだ。
(FOOTBALL ZONE編集部)