【W杯】決勝の舞台で露わ…アルゼンチン“神の子”・メッシは歓喜のスタジアムで何を見たのか?

アルゼンチン代表FWリオネル・メッシ【写真:徳原隆元(FOOTBALL ZONE特派)】
アルゼンチン代表FWリオネル・メッシ【写真:徳原隆元(FOOTBALL ZONE特派)】

【カメラマンの目】フランスをPK戦の末下し、その場で膝を着いて感慨に浸る姿を激写

 風の強い砂埃が舞う日だった。ルサイル・スタジアムに向かうシャトルバスから視線を遠くの高層ビルに向けると微かに煙って見え、ここが中東であることを改めて感じる。

 中東で初の開催となったカタール・ワールドカップ(W杯)。アルゼンチン代表の大黒柱であるリオネル・メッシがW杯優勝の夢を成就させることができるのか。それともフランス代表の新鋭キリアン・ムバッペが2連覇の偉業を体感するのか。現地時間18日午後6時、決勝の火ぶたは切って落とされた。

 両チームとも大一番ということで、さすがに大胆に試合へ入ることはしなかった。しかし、慎重のなかにもアルゼンチンは南米のチームが得意とする球際での荒っぽさが表面化し、攻めの姿勢がフランスより強くピッチに表れる。

 アルゼンチンは右にメッシ、左にベテランのアンヘル・ディ・マリアを配置し、サイド攻撃からチャンスを作っていく。それにしてもディ・マリアは老獪だった。したたかにフランス守備陣を翻弄し、メッシとの両翼からの攻めを可能にして攻撃をリードする。

 そのアルゼンチンは前半23分、ペナルティーキック(PK)のチャンスにメッシが確実に決め先制に成功すると、一気に形勢は南米の雄に傾いていく。続く36分、ディ・マリアが追加点をゲット。リオネル・スカローニ監督の采配が見事に的中し、アルゼンチンは前半で光り輝く勝利への道筋が見えたかに思われた。

 しかし、W杯2連覇に闘志を燃やすフランスもただでは終わらない。早くも前半が終わらないうちに前線の選手をふたり入れ替え勝負に出る。だが、大胆な前線の2枚替えもなかなかピッチで効果が表れない。それでも試合がアルゼンチン優勝に染まりかけた残り時間10分、フランスはPKを獲得しこれをムバッペが決めて1点差と詰め寄る。

 ムバッペは得意の左サイドからセンターフォワードの位置に入ることもあり、後半は明らかに同点弾を狙いにいく役割を担っていた。その期待に応えたムバッペは同点弾からわずか1分後、マルクス・テュラムとのワン・ツーからダイレクトボレーをアルゼンチンゴールに突き刺しフランスを敗戦から救う。

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FOOTBALL ZONE特派・徳原隆元 / Takamoto Tokuhara

とくはら・たかもと/1970年東京生まれ。22歳の時からブラジルサッカーを取材。現在も日本国内、海外で“サッカーのある場面”を撮影している。好きな選手はミッシェル・プラティニとパウロ・ロベルト・ファルカン。1980年代の単純にサッカーの上手い選手が当たり前のようにピッチで輝けた時代のサッカーが今も好き。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。

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