【W杯】元選手の“批判的解説”を巡る是非 フライブルク監督が指摘「あってはならないことだ」
シュトライヒ監督が見たカタールW杯のドイツ代表「代表チームはマンCとは違う」
シュトライヒ監督はドイツ代表の戦いぶりについても言及している。
「ドイツは本当にたくさんのチャンスを作っていた。ただ、十分にいい守備ができないでいた。非常に腹立たしいことではないか。オフェンシブにプレーしたいのならば、極めていい守備ができなければならない。それも、チームとして全員で、だ。それが欠けていた。それができていたら、もっと多くのものを手にすることができたと思う」
「いくつかのポジションにワールドクラスの選手がいないのは確かだ。それはある。だが、だからこそ大事なのは、チームとしてコレクティブに守備をすることではないか。代表チームはマンチェスター・シティとは違う。新しい選手を多額の移籍金で補強することなどできない。でも、コレクティブにプレーすることで多くのことを可能にできる」
このことについては、ドイツ代表を率いるハンジ・フリック監督も常に口にしている。ドイツ代表キャプテンのGKマヌエル・ノイアーも「守備バランスを保ってプレーすることがものすごく大事だ」と何度も話していた。選手にしても、そうしようとはしていただろう。
ただ、そうしようとする選手とそれができる選手はまた違う。コレクティブに守備ができる選手がどれだけメンバーにいたのか。それはこれからのドイツ代表が向き合わなければならない大事なテーマだろう。
(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。