INACとの首位攻防戦に敗北の浦和L、監督が采配に後悔 「一瞬、自分も迷ってしまった」
INACは4勝1分で唯一無敗をキープ
日本女子プロサッカーリーグ「WEリーグ」は12月10日と11日に第6節の試合が行われ、三菱重工浦和レッズレディースとINAC神戸レオネッサの首位攻防戦は、INAC神戸がアウェーで2-1の勝利を収めた。
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試合前時点で両者とも1回の「WE ACTION DAY」、奇数チームのため試合ではなく社会活動を行う週末を挟んでいるため4試合を消化。浦和が4連勝、INAC神戸が3勝1分で迎えたが、浦和はセンターバック(CB)に怪我人が続出していることから元なでしこジャパン(女子日本代表)のアタッカー、FW安藤梢をCBに起用するという難しい判断での2試合目になっていた。
そのゲームは、浦和が攻撃を終えたあとに即時奪回を目論むハイプレスで一気に主導権を握ったものの、5バックで受け止めるINAC神戸が前半18分に両ワイドを広く使った鋭い速攻で、MF守屋都弥の左足ボレーで先制。浦和はその後も攻め立ててクロスバー直撃のシュートが複数あるような展開のなかで後半19分にMF清家貴子が同点ゴールを奪った。
ホームの浦和は清家に加えてFW菅澤優衣香、FW島田芽衣を合わせた3トップが中央で相手に圧力を加え続けたがなかなかゴールを割れず、交代策で攻撃的な選手を前に増やしたタイミングでINAC神戸がカウンター。後半43分にFW高瀬愛美が決勝点を奪った。この試合展開について、浦和の楠瀬直木監督は「一瞬、自分も迷ってしまったのがいけないが、引き分けでも良かったところを前掛かりにしてしまった」と空洞化した中盤を一気に突破された決勝点と敗戦を振り返った。
一方で勝利したINAC神戸の朴康造監督はかなりの時間を押し込まれたことからも、「非常に厳しい試合になった」と総括したが、「選手たちが前に向かう姿勢を見せてカウンターでチャンスを作った。非常に大きい試合になった」と話した。
昨シーズンからスタートしたWEリーグは、INAC神戸が最初の女王に。浦和は皇后杯を制した。今季新設のWEリーグカップは浦和が制して日テレ・東京ヴェルディベレーザが準優勝と、この3チームが“3強”として日本女子サッカーを引っ張ってきている。そこに今季はマイナビベガルタ仙台レディースが1試合多いものの4勝1分1敗でINAC神戸と並ぶ勝ち点13で2位に浮上。次節に浦和と対戦するが、力をつけてきている。
来年にはオーストラリアとニュージーランドで共同開催される女子ワールドカップ(W杯)も控える。欧州など海外に活躍の場を移した選手もいるが、この日に池田太監督が視察に訪れる姿があったように女子日本代表の半数ほどは国内のチームから選出が見込まれる。日本女子サッカーの最高峰としてアマチュアのなでしこリーグで戦っていた数年前と比較すれば、戦術的な面や個々の技術を含む全体の成長は明らかなだけに、この日のゲームのような際どい試合を積み重ねることが女子サッカー全体の発展と強化につながるはずだ。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)