J1王者に絶対的守護神あり 高丘陽平が数ミリの世界で掴んだ「今までにない感覚」

GK高丘陽平は自身初のベストイレブンに選出【写真:徳原隆元】
GK高丘陽平は自身初のベストイレブンに選出【写真:徳原隆元】

【インタビュー】王者横浜FMの守護神・高丘が意識する慢心・過信を防ぐマインド

 2022年のJ1リーグは、横浜F・マリノスの3シーズンぶり5度目の優勝で幕を閉じた。その立役者の1人がリーグ全体でも2人しか達成していない34試合フルタイム出場を果たし、自身初のベストイレブンにも選出されたGK高丘陽平だ。横浜で育ち、横浜でプロになった26歳に、充実したシーズンを振り返ってもらった。(取材・文=石川遼/全3回の1回目)

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――今シーズンはリーグ制覇、そして自身初のベストイレブンに輝きました。1年間レギュラーとして活躍し、手応えを感じられた部分はありましたか?

「昨シーズンは2位という結果で終わり、優勝を目指していくなかで今シーズンはシュートをいかに自分が止められるかというところにフォーカスしてやってきました。ビルドアップが求められているところでもありますけど、自分の中ではゴールキーピングのところの能力を少しでも上げていこうと取り組んできたので、そこで一定の成果は得られたのかなと思います」

――横浜F・マリノスはディフェンスラインを高く保って戦うチームで、ほかと比べてもGKがカバーするエリアが広いと思います。移籍してきて約2年が経ちますが、スタイルに適応していくうえで苦労したことはありましたか?

「最初に意識していたのは、チームのやり方や選手個々の特徴を理解してプレーするということでした。そして、そのうえで自分のプレーを知ってもらうこと。時間をかけながら信頼関係を構築していくことが大事だと思っていました。やっぱり背後のところでGKが管理するエリアはほかのチームよりも圧倒的に広いので、ディフェンスラインとの共通認識や僕が前に出る、出ないの判断については練習や試合でトライアンドエラーを繰り返しながらやってきた感じです。でも、それ以外のゴールキーピングのところは、どのチームでも変わらない。当然シュートも止めなければいけないですし、ボールをつなぐところにしてもそう。それはどこへ行っても求められることなので、特別に何かを意識して変えたところはあまりなかったです」

――5月から7月にかけて9試合負けなし(7勝2分)で駆け抜け、その後も安定した強さで首位をキープし、最終的にリーグタイトルを獲得しました。終盤に連敗もありましたが、最後の砦であるGKとしてはどのようなことを意識しながらプレーしていましたか?

「勝ち続けているとどこかで慢心だったり、過信が生まれてしまうものです。そういったところで自分はしっかりと周りのカバーリングができればなと思ってやっていました。もちろん常に高いパフォーマンスを出すことをチームとして求めていますけど、人間なのでそれができないこともある。そういう時にちゃんと自分がチームを助けられるかどうかは常にフォーカスしていた部分です。今シーズンで言えば、助けられたシーンもありましたし、逆に助けてあげられなかったシーンもあった。来シーズンはそこをさらに求めてやっていきたいと思います」

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