【W杯】PKキッカー“挙手制”「日本の失敗」と英記者が見解 クロアチア戦の敗北は「新たな“ドーハの悲劇”」
「日本サッカーにはまだまだやるべきことがある」
そして、日本は予期せぬ形で過ちを犯してしまったのだ。
森保監督はPKのキッカーとその順番を選手に任せたことを明らかにした。それがいけなかった。
南野拓実が勇気を出して最初のキッカーを務めたことは称賛されるべきだ。しかし、森保監督でもキャプテンの吉田麻也でも誰でもいいから、他の選手に蹴らせるように言うべきだったのだ。
南野はここ最近調子を崩しており、日本代表の先発メンバーから外れていた。最初はリバプールで、そして今はフランスのASモナコでフリンジプレーヤーとなっている。このPK失敗も、自信の問題だったのではないだろうか。
この最初のミスがそのあとの流れを作った。2人目の三笘薫もリバコヴィッチのファインセーブに阻まれ、そこで試合の行方が決定的になったのは言うまでもない。マルコ・リバヤのキックがポストを叩いて日本にかすかな望みを与えた時でさえ、逆転する気配は感じられなかった。
そして、夢は終わる。苦悩は消えず、準々決勝進出のための努力は続く。また新たな4年間が目の前にあるのだ。この新たな“ドーハの悲劇”は、29年前のオリジナルと同じくらい拭い去ることが難しいかもしれない。
日本サッカーにはまだまだやるべきことがある。スペインやドイツに勝っても、勝算がある試合でこそ進歩がなければ意味がない。コスタリカ戦での敗戦がその問題を浮かび上がらせ、クロアチア戦がそれをより強調する結果となったのだ。
マイケル・チャーチ
アジアサッカーを幅広くカバーし、25年以上ジャーナリストとして活動する英国人ジャーナリスト。アジアサッカー連盟の機関紙「フットボール・アジア」の編集長やPAスポーツ通信のアジア支局長を務め、ワールドカップ6大会連続で取材。日本代表や日本サッカー界の動向も長年追っている。現在はコラムニストとしても執筆。