【W杯】PK戦での敗退に「これがサッカー」 楢﨑正剛氏が語る超えられなかった壁の高さとは
「次のチャンスは4年後」 足りない部分の差を埋めていくきっかけに
残酷な結末ですが、これがサッカーです。選手としては、同じことが起きないようにしながら先へ進んでいきますし、それは代表チームでも所属クラブでも同じ。ただ、舞台がW杯で、次のチャンスは4年後になってしまう。それがW杯の重みであり、価値でもあります。
タフな戦いを続けてきた日本チームに気安い言葉はかけられません。自分たち自身で勝つチャンスを増やしていったことは事実です。そしてそのチャンスを掴みかけていただけに悔しさだけでなくモヤモヤも強く残っているはずですし、目標に掲げていた“新しい景色”を見ることができなくて落胆するのも当然です。
でも、ベスト8進出以上の手応えを得た部分もあるはず。ドイツやスペインに勝利した事実は日本サッカーの財産になります。乗り越えられなかった壁の高さを改めて計れたでしょうし、今一度足りない部分の差を埋めていくきっかけにしなければいけません。
突き詰めると、個の力をもっと上げる必要があります。1人で相手に脅威を与え続けることができていた三笘選手のようなプレーヤーを各ポジションで増やさないといけない。さらにそのような選手を相手が警戒し対応された状況でも、それを打破するためのアクションができるようになっていかなければいけません。
出場した選手だけでなく、ピッチの外から見ていた側もそれぞれの立場で感じることが大切です。サッカーを志す全員の小さな積み重ねが、4年後に日本代表の姿形となって結果に表れるのだから。
藤井雅彦
ふじい・まさひこ/1983年生まれ、神奈川県出身。日本ジャーナリスト専門学校在学中からボランティア形式でサッカー業界に携わり、卒業後にフリーランスとして活動開始。サッカー専門新聞『EL GOLAZO』創刊号から寄稿し、ドイツW杯取材を経て2006年から横浜F・マリノス担当に。12年からはウェブマガジン『ザ・ヨコハマ・エクスプレス』(https://www.targma.jp/yokohama-ex/)の責任編集として密着取材を続けている。著書に『横浜F・マリノス 変革のトリコロール秘史』、構成に『中村俊輔式 サッカー観戦術』『サッカー・J2論/松井大輔』『ゴールへの道は自分自身で切り拓くものだ/山瀬功治』(発行はすべてワニブックス)がある。