【W杯】日本代表、クロアチア攻略のキーポイントは? “逆転勝ち”困難な難敵…「モドリッチ・ライン」断絶が鍵に
グループリーグ3試合で1失点のクロアチア、リードを許すと厄介な相手
そうした相手に対しては大きな枠を決めるだけでなく、ある場所ではディテールまで踏み込んで、森保監督やスタッフと選手が共有するべきだろう。「モドリッチ・ライン」を断ち切る守備のプランはもちろん、ハイラインが基本となる相手の背後を取ってゴールに迫るためのプランもそうだ。またボールを持てる時間がドイツ戦やスペイン戦より長くなるなかで、どこから崩してゴールに迫っていくかも定めておきたい。
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DF吉田麻也キャプテンが、お互いに分析ができているなかでプランA、プランB、プランCぐらいは用意しておくべきだと語っていたが、その使い分けをフレキシブルに求められるのがクロアチアとの戦いだ。またドイツ戦とスペイン戦の経験から、前半でリードを奪われても後半で巻き返せるというイメージは選手もサポーターも持っているかもしれない。しかし、森保監督も認めるように本来はリードされないで勝負をかけて行けるのが理想であり、グループリーグ3試合で1失点のクロアチアは1-0からそうそうに隙を与えてくれないだろう。
ラウンド16のここまでの4試合は先制した側がそのまま勝利しているエビデンスもある。やはり先制点でリードを奪った側が有利というのはグループリーグよりも強まるので、先に点を与えないように戦いながら、接戦で最後まで競り負けないようにしていく根気が問われる戦いになる。当然、120分も想定した戦いになるが、90分の中で何とか仕留めたい。
推奨布陣は3バックを推す声も見られるが、相手が3トップ気味であること、スペイン戦よりボールを握る展開を考えると4バックで、ハイプレスをかけやすい4-2-3-1がイメージしやすい。その中でクロアチアのスカウティングも想定して、これまで使っていない組み合わせも織り交ぜたい。
その意味で、ここまで途中出場しかないMF南野拓実、一度も出番が無いボランチのMF柴崎岳にもチャンスがあると考える。またペリシッチとクラマリッチというクロアチアのサイドアタッカーをいかに封じるかが鍵になるので、ペリシッチの元インテル時代の同僚であるDF長友佑都、ブンデスリーガでクラマリッチをよく知るDF伊藤洋輝を当てるか。ただ、DF酒井宏樹もスタンバイOKとのことなので、長友と酒井は2人で最大120分という想定もできる。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。