「あの2人を越えたい」 キャプテン吉田麻也の頭に常に浮かぶ日本のCBコンビの存在「なれれば嬉しい」“ナンバー1”DFの称号
中澤と闘利王の背中の大きさを実感
人一倍、日本代表チームのことを考えて取り組んできた。日本代表のキャプテンを務めるDF吉田麻也(シャルケ)が、クロアチア代表とのカタール・ワールドカップ(W杯)ラウンド16の一戦を翌日(現地時間12月5日)に控えたなか、珍しく個人の思いを語った。
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2018年ロシア大会が終わり、長らくキャプテンを務めてきたMF長谷部誠(フランクフルト)が日本代表を引退。新たに腕章を巻くことになったのが、吉田だった。
「(キャプテン就任)当初は、すごく長谷部さんを意識してたんですけど。どこって明確には覚えてないけど、ある時からあまり比べなくなったというか、気にしなくなりました。自分には自分の良さがあるって思っていますし、長谷部さんだけじゃなくて、いろんなキャプテンを見てきて、いろんな人の良いところを吸収してきたつもりなので。良く言うと『ハイブリッド型』でいいとこ取りして自分で積み上げてきたつもり」
長谷部だけではなく、MF本田圭佑、MF香川真司、FW岡崎慎司といった選手たちも、代表を離れた。攻撃陣にW杯経験者がゼロというチームを率いて、前回大会と同じベスト16まで進んだことは、吉田がキャプテンとしてチームをまとめあげることができた証とも言えるだろう。
そんな吉田が個人の思いを問われて、自身の思いを口にした。
「個人的には、若い時からやっぱり早くにチャンスをもらって、代表で長くたくさん試合に出させてもらっているなかでも、やっぱり中澤(佑二)さんと闘利王さんという亡霊をずっと追いかけている。やっぱり『あの2人を越えたいな』っていうのはずっと頭の片隅にあって」と、2010年の南アフリカ大会で、センターバックを組んでいた2人の名DFを今も目標としていることを明かした。
彼らをどうしたら越えられるのか。吉田は言葉を続けた。
「選手にはクラブのキャリアと代表のキャリアの2つがあると思っているんです。クラブのキャリアっていうのは、日本サッカーが発展していけば、新しい選手がそれを塗り替えていくはずなので、過去と比べてもしょうがない。けど、代表に関してはやっぱり何をしたか、どこに行ったかが、すごく大事になってくる。そういう意味では、僕はまだ中澤さん、闘利王さんを抜けていないと思っているんです。やっぱり、このベスト16の壁を破った時に、初めてそこに辿り着けるんじゃないかなと思います」
報道陣から「史上最高の日本代表DFと呼ばれたい?」と聞かれると、少し照れながらも、「一瞬だと思いますけどね」と言い、仮に自身がその立場になっても、大きなポテンシャルを秘める2人が、自身を越えると断言した。「冨安(健洋)と板倉(滉)が、すぐ来ると思います。それでも一瞬でも、なれれば嬉しいですよね」と言う、その顔はどこか嬉しそうだった。
吉田ほど、欧州のトップリーグで長いキャリアを過ごしたセンターバックはいない。それでも、チームが結果を出してこそ評価されると考えるキャプテンは、ベスト16の壁を越えるために、4年前以上の状態に自身のコンディションを持ってくることができたという。
「今も痛いところはない。ロシアの時は精神的にも、1次ラウンドの3試合が終わったときに、すごく疲弊していたんです。ほかの選手もそうだったと思うんですけど。やっぱり、それを経験したからこそ、『それくらいハードになるよ』っていう自分の気持ちの準備と余裕があったので、やっぱり4年前よりコンディション状態はいいなと思います」
日本代表として、ベスト16の壁を破る。その大きな目標に、しっかりと自身の目標を重ねて、吉田はクロアチアとの大一番に臨む。