【W杯】日本代表の次期監督をJFA会長発言からあえて深読み 「森保続投」とは判断しにくい…選考で重要なのは?
気になる「今の日本の選手で」発言 重要なのは4年後のW杯を率いるのにどうか
さらに気になるのが「今の日本の選手で世界と十分に戦えることを示してくれた」という発言だ。
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田嶋会長は「今の日本の選手で」と言っている。現在の戦力を率いての手腕を高く評価しているわけだが、次期監督が率いるのは今の選手とは限らない。選手が違えば監督のアプローチも違ってくるわけで、次期監督の選考で重要なのは4年後のW杯を率いるのにどうかだ。
森保監督は現在の代表で「世界と十分戦えることを示してくれた」。ただ、ドイツとスペインに圧勝したわけではない。中堅国らしい戦い方で勝っている。中堅国は基本的にずっと中堅国だ。中堅から強豪にステップアップした例外としてはスペイン、フランスが挙げられるが、一時的にW杯で好成績を残しても、大半の中堅国は中堅のままで強豪にはならない。JFAが本気で日本を強豪国へステップアップさせたいなら、中堅らしい現在の戦い方からもステップアップしなければならない。
過去にジーコ監督とアルベルト・ザッケローニ監督が強豪のようなプレースタイルを志向していたが、いずれもグループリーグで敗退している。逆に身の丈を弁えたときはベスト16。実力が伴っていないまま中堅からの脱却をしようとすると必ず痛い目に遭ってきた。いつかは中堅からの脱却を図りたいが、それがいつなのか。
まだ中堅国としての戦いを続けるべきか、それとも強豪国へ踏み出していくのか。次期監督はそれ次第なのではないか。森保監督は「候補の1人」かもしれないが最有力とは限らない。JFAの考え方次第だが、それがこの発言からは分からないのでなんとも言えないところである。
西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。