【W杯】日本人サポーターのゴミ拾い「奴隷根性」論争 現地ボランティアの見解は? 「僕はそう思わない」「どうしてわざわざ批判を…」
日本人ファンの清掃について現地の声を聞く
カタール・ワールドカップ(W杯)で日本人サポーターが、試合後にスタンドでゴミ拾いをする姿は、世界的に高く評価されている。他国のサポーターも、日本に倣ってゴミ拾いをという動きがカタールW杯でもあるなかで、日本国内では著名人から「ゴミ拾い褒められて喜ぶ奴隷根性」「清掃を業にしている人が失業してしまう」といった意見が出てきた。現地のボランティアは、どう感じているのか。日本がスペイン代表と対戦した現地時間12月1日、グループF第3戦の行われるクロアチア代表対ベルギー代表の試合が行われるアフメド・ビン=アリ・スタジアムに足を運んだ。
このスタジアムは、日本とコスタリカの試合が行われた場所。取材を開始すると、日本のサポーターとゴール裏で一緒にゴミ拾いをしたというボランティアのハリームさんと出会えた。
日本のファンとゴミ拾いを行い、貰ったという日本のピンバッジを誇らしげに見せてくれたハリームさんは「ゴミを拾うというのは、とても普通な行動だ。でも、誰もがスタジアムでそれができるわけではない。彼らは良いファンの見本になるとともに、教養のあることを示したと思う。そしてニュースで世界中に広がったことで、多くの人がその様子を知ったと思う。世界中が同じことをやってほしい。だって、誰かがある場所に行き、そこにゴミを残していくのは、いいことじゃないだろ?日本人のファンはとても教養があることを示して、それぞれが出したゴミや周りにあったゴミを持ち帰り、綺麗にしてくれた。とてもいいことだよ。僕たちもとても助かった」と、日本のファンの行為について語った。
そして、日本ではその行為に批判が起きていることを伝えると、大きく目を見開き「What?(なんだって)」と理解ができないという感じで両手を広げた。そして「奴隷精神」などと言われていることを伝えると「違う。違う。僕はそう思わない。これは普通のことであり、世界にとっての良い手本だ。この先の世代にも伝えるべきことだよ。本当にシンプルなことだけれど、これを全員がやれば、世界はもっと良い場所になるよ」と、話した。
また、この日に会場の外で道案内をしていたサイードさんも「一緒にやったよ。ゴミを片付けるサポーターなんて初めて見た。ほとんどの国の人は、ゴミのことなんて気にせず帰っちゃう。それが日本の人たちは、ゴミを片付けて行くから驚いたよ。本当にナイスなことだし、スタジアムがいつもより早く綺麗になったからね」と喜んだ。
日本で批判があることを知ると、「せっかく世界中が日本に対して良いイメージを持ったのに、どうしてわざわざ批判をするんだい?それは正しいことだと思わないな」と言い、考えを伝えてくれた。
「彼らは世界に対して、日本人の良いイメージを作った。日本人が物事をどのように考えるか、どうして世界を旅するのか。そういうことが僕たちには伝わった。僕たちの助けになっただけで、仕事を奪われたなんてまったく思っていないよ。カタールの人にも親切だった。ほかの国の人たちにも同じようにしてもらいたいと思ったくらいだよ。それにスタジアム内ばかりが報じられているけど、スタジアムの外でも彼らはゴミを見つけたら片付けていた。良い印象しかないよ」と話し、「奴隷精神」という言葉には「ノー。ノー。そうじゃないよ」と拒否反応を示し、「日本人は本当に親切で、優しい。綺麗好きだ。世界に誇れることだと思うけどね」と語った。
日本のファンの行っている試合後のスタジアム清掃は、現地のボランティアたちは、ただただ好意的に受け止めている。