政府への抗議デモの一環として代表チームの敗退を祝福

　カタール・ワールドカップ（W杯）は現地時間11月29日にグループBの最終戦が行われ、イラン代表が0-1でアメリカ代表に敗れ無念の予選敗退となった。その裏で、イラン代表の敗退を祝った同国の男性が射殺されるという悲しい事件が起きている。

　米紙「ニューヨーク・ポスト」など海外の複数メディアが報じたところによると、事件の被害者となったのはメヘラン・サマクさん。現地時間11月29日にイラン北西部の町、バンダレ・アンザリーで同国代表のW杯敗退を祝うため自動車のクラクションを鳴らしたところ、治安部隊によって射殺された。

　ヒジャブ（頭髪を覆うスカーフ）の着用が適切ではないとの理由で治安当局に拘束された女性が急死し、これに抗議するデモが続いているイラン。この一件を巡り、イラン代表はカタールW杯でも試合前の国家斉唱を拒否するなど連帯を示していた。

　サマクさんの射殺につながったイラン代表のW杯グループリーグ敗退を祝福する行為についても、政府への抗議の一環だとされている。同紙によると、サマクさんの葬儀は翌30日に執り行われ、その場でも政府に対する批判が呼び掛けられていたという。

　先日は英メディアで帰国後に厳罰に処される可能性があるとも報道されるなど、予断を許さない状況のサッカー・イラン代表と抗議デモの問題。今後の動向に注目が集まる。