【W杯|この試合この1枚】国境を越えるC・ロナウドの人気 見る者を虜にするスターの表情
C・ロナウドに声援を送るメキシコ人女性を発見
11月28日、カタール・ワールドカップ(W杯)グループH第2戦、ルイサル・スタジアムのピッチにウォーミングアップのため姿を現したクリスティアーノ・ロナウドに大きな歓声が上がる。実力、実績ともに十分のスーパースターの登場である。スタンドが湧かないわけがない。
ユニフォームの上からでも分かる鋼のような肉体で颯爽とピッチを駆け抜け、チームの得点に歓喜したと思えば、厳しい表情で味方を鼓舞する。その一挙手一投足はまさにキャプテンのそれである。単独のドリブルで相手陣内に切り込む回数は減っているものの、ここぞというときの勝負どころに顔を出すゴールへの嗅覚は健在だ。
国家の名のもとで戦うW杯は、プレーする選手たちはもちろん、彼らを応援するサポーターも、自分が何者であるのかというアイデンティティーを再認識する場所のような気がする。サポーターは国という巨大なひとつの共同体の一員としての自分を意識し、その仲間(=選手)を応援する。
ウォーミングアップを続けるC・ロナウドに対して、バックスタンドの最前線で熱心に声援を送る私服姿の女性がいた。カメラを向けていると視線が合ったのでシャッターを切った。近づいて「ポルトガル人なの?」と聞くとメキシコ人という答えだった。
どうやらポルトガルのエースとして君臨する背番号7への思いは、国境をも簡単に越えるみたいだ。それはそうかもしれない。味方の好プレーにサムアップで応える彼の表情を見たら誰でも虜になるか。
(FOOTBALL ZONE特派・徳原隆元 / Takamoto Tokuhara)
FOOTBALL ZONE特派・徳原隆元 / Takamoto Tokuhara
とくはら・たかもと/1970年東京生まれ。22歳の時からブラジルサッカーを取材。現在も日本国内、海外で“サッカーのある場面”を撮影している。好きな選手はミッシェル・プラティニとパウロ・ロベルト・ファルカン。1980年代の単純にサッカーの上手い選手が当たり前のようにピッチで輝けた時代のサッカーが今も好き。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。