【W杯】迫力ある写真が生まれなかったコスタリカ戦 日本が運命のスペイン戦で選択すべきスタイルは?
【カメラマンの目】世界の人々が集まるなかで自分が日本人であることを思う
サッカー界最大のイベントであるワールドカップ(W杯)は当然、多くの報道陣が現地へとやってくる。カメラマンもゴール裏とバックスタンド側を埋めるようにズラリと配置され、アクレディテーションカードを持っていても人気の対戦となると撮影の許可が出ない場合もある。毎日、各スタジアムで膨大な数のシャッターが切られ、厳選された写真が世界に向けて配信されていくのだ。
カメラマンの人数が多いだけに隣との距離も近く、会話を交わす機会も増える。11月28日のポルトガル代表対ウルグアイ代表の試合で隣の撮影位置にいたカメラマンと会話をする。こちらが日本人だと分かると携帯電話でFIFAのホームページを呼び出し、驚いた顔をした。
画面をこちらに向けられたので見ると、日本代表のグループの星取表だった。そして言葉にはしなかったが、カメラマンの顔は「え、日本って2位なの?」と言っていた。
会話を交わしたカメラマンが何人かは聞かなかったが、その報道陣にとって自国か、また自国が入ったグリーループリーグでなければ、それほど関心がない人物もいるということか。ドイツ代表戦のセンセーショナルな結果もなんだか霞んだ。
ただ、こちらは日本人。第3戦の対スペイン代表戦はグループリーグ突破を賭けた大一番となる。
日本は第1戦のドイツ戦では、前半はかなり押し込まれる苦しい展開が続いた。それでもマイボールにすると素早く前線へとボールを運びチャンスを作った。この時間をかけず一気にゴールを目指すサッカーが見事に的中した。
しかし、第2戦は最前線にターゲットマンを置き、そこを起点に攻撃を仕掛けるサッカーで勝負に出た。まさにこのスタイルが裏目に出る。前線でボールが収まらず全体的に流れが停滞することになる。前線へのパスが跳ね返され続けると、出しどころを失った後方の選手は消極的なボール回しに終始することになる。
選手たちは戸惑い、写真的にもDFの選手がインサイドキックでパスを出しているものばかりになり、迫力ある場面もなく90分間が終わった。
第1戦と第2戦では異なるスタイルで戦った日本。では、勝負となる第3戦はどちらのスタイルを選択すればいいのか。それは考えるまでもない。
ここまでの2試合で日本の成績を1勝1敗と予想した人は多いだろう。だが、どのチームから勝ち点を挙げるかまでを的中させたのはほとんどいないのではないだろうか。それなら強豪のスペインを相手に、日本が勝ち点を奪取できないと誰が言えるだろうか。
スペイン撃破のミッション成功は森保一監督の采配にかかっている。
FOOTBALL ZONE特派・徳原隆元 / Takamoto Tokuhara
とくはら・たかもと/1970年東京生まれ。22歳の時からブラジルサッカーを取材。現在も日本国内、海外で“サッカーのある場面”を撮影している。好きな選手はミッシェル・プラティニとパウロ・ロベルト・ファルカン。1980年代の単純にサッカーの上手い選手が当たり前のようにピッチで輝けた時代のサッカーが今も好き。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。