【W杯】日本の“セットプレー問題”に元主審・家本氏が言及 「期待、可能性があまり感じられない」
【専門家の目|家本政明】歴代のFKキッカーを挙げて比較、コスタリカ戦でもチャンスを生かせず
森保一監督率いる日本代表は、11月27日にカタール・ワールドカップ(W杯)グループE第2戦のコスタリカ代表との一戦で0-1と痛恨の敗戦。この試合では、何度かフリーキック(FK)のチャンスがあったが日本は得点につなげられなかった。元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏が日本のセットプレーについて言及している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部・金子拳也)
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コスタリカ戦で日本は、金星を飾ったドイツ戦から5人の先発メンバーを入れ替えて挑んだ。しかし試合は、積極的に前に来ない相手に対し、攻めきれず停滞した試合展開が続く。後半に入って攻撃的な選手を入れるなど、森保一監督が打開を試みるも上手くいかず。その後日本は同36分にコスタリカに数少ないチャンスからゴールを決められ失点し、0-1の敗戦を喫した。
ここまで日本の試合を通して、家本氏は日本のセットプレーの可能性について言及。「日本にはかつて、中村俊輔選手、遠藤保仁選手、本田圭佑選手らFKでワクワクする、得点を期待してしまう選手がいました。今、日本代表でその域に達している選手が見受けられないというのが正直な印象ですね」と厳しい現状を考察した。
「背の大きい吉田(麻也)選手や冨安(健洋)選手もいるなかで、キッカーが誰かをターゲットにして得点を奪おうとするシーンも最近はあまり見た記憶がないです。期待、可能性があまり感じられない印象です」
また、家本氏はセットプレーでの期待感の薄さが得点の幅を狭めていると指摘。「今の日本のセットプレーは相手にとっても脅威にならないですよね。例えば三笘(薫)選手のような切り裂く選手は相手にとって脅威となるが、ファウルをされてもそこから得点のチャンスが生まれればもっとチャンスが広がります。両方あったほうが絶対にいいと思います」と日本のアタッカーを例に出し持論を展開していた。
家本政明
いえもと・まさあき/1973年生まれ、広島県出身。同志社大学卒業後の96年にJリーグの京都パープルサンガ(現京都)に入社し、運営業務にも携わり、1級審判員を取得。2002年からJ2、04年からJ1で主審を務め、05年から日本サッカー協会のスペシャルレフェリー(現プロフェッショナルレフェリー)となった。10年に日本人初の英国ウェンブリー・スタジアムで試合を担当。J1通算338試合、J2通算176試合、J3通算2試合、リーグカップ通算62試合を担当。主審として国際試合100試合以上、Jリーグは歴代最多の516試合を担当。21年12月4日に行われたJ1第38節の横浜FM対川崎戦で勇退し、現在サッカーの魅力向上のため幅広く活動を行っている。