【W杯】日本がコスタリカ戦でまさかの失策 3バック変更が仇に?…三笘投入後のシステムに抱いた違和感

チームとしてうしろ向きだったことが日本のプランへマイナスに影響

 選手個人に目を向ければそれぞれ問題点はあるが、前半にチームとしてうしろ向きだったことが、勝ちに行きながらクロージングしていくというプランにもマイナスに影響してしまったのではないか。前半35分に森保一監督は3バック(守備をセットするときは5バック)に変更を指示した。一時的に長友佑都が左センターバックになるリスクを背負いながらも、右の山根を上げてワイドを高くしながら、堂安をインサイドで絡ませたいという意図は見られた。

 さらに言えば守備で板倉がキャンベルを見られるので、そこの対応が安定したところはある。それでも5-4-1のブロックを崩すための攻撃面での大きな成果は見られなかった。後半頭には伊藤洋輝を左センターバックに入れて、FWに浅野拓磨を投入。ただし、ここで日本は攻撃時に伊藤を左サイドバックのような位置にして、相馬をウイングとして高い位置の仕掛けに参加させる可変のビルドアップを発動した。

 分かりやすく言えば“3.5バック”という表現になるかもしれないが、ボランチの守田英正が中央突破からGKケイラー・ナバスを脅かすなど、立て続けにチャンスを作った。これにもコスタリカは早めに対応し、ヘルソン・トーレスがしっかり伊藤をチェックしながら、フレールが相馬をマークしたことで、効果を出しにくくなった。

 あとになって振り返れば、後半の立ち上がりがコスタリカの守備を最も困らせ、得点の可能性があった。三笘薫を入れてからは通常の3バックに立ち位置を戻して、左に三笘、右に相馬が張る形になった。ただ、結果論にはなるが、立ち上がりの4バック気味のままで三笘に勝負させる形にしたほうが、剥がすべき相手がはっきりする分、効果的だったのではないかと考える。

 ちょうど前日にメキシコ代表とアルゼンチン代表の試合があり、極論、引き分けでもOKのメキシコとあとがないアルゼンチンで、やはりメキシコは終盤の勢いに押し切られたところがあった。コスタリカはアルゼンチンとスタイルこそ違うが、やはり勝ち点3を取らないといけない状況で、終盤になってくると最悪ドローでもOKの日本との差と言うのは出やすい。

 そこで狙いどおりクローズしてしまえれば問題ないが、こういう大舞台で試合をうまくクローズすることほど、実は難しいものはないだろう。やはり前半から積極的に入るということができなかったのは試合に大きく響いたのは確かだ。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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