【W杯】ドイツメディアで勃発した激論 日本に“弱点”突かれ…「守備の安定がない」「FWは?」
守備の安定に関する議論が勃発 キミッヒの起用法に変化の可能性も?
日本に負けたあと様々な議論が勃発している。その最たるものの一つが「どうやったら守備は安定するのか?」だ。
日本戦では右からニクラス・ズーレ、アントニオ・リュディガー、ニコ・シュロッターベック、ダビド・ラウムの4バックが形成されたが、失点シーンではそれぞれがミス。そのためヨシュア・キミッヒを右サイドバック(SB)で起用すべきか否かのディスカッションが再浮上した。試合翌日にデジタルで開かれた監督記者会見ではドイツの地元メディアから、「UEFAチャンピオンズリーグでは直前でキミッヒを右SBで起用していました。今またそのテーマでディスカッションする必要があるでしょうか?」という質問も出ている。
フリックは「我々はすべての選手、すべてのポジションについて本当にディスカッションしている。対戦するあらゆる相手に対して自分たちの可能な限りベストなチームをピッチに送るのが我々の仕事だ。どの試合前でもそのことをしている」と答え、可能性がないわけではないことを示唆した。
実際にW杯前最後のブンデスリーガの試合となったバイエルン・ミュンヘン対シャルケで、キミッヒは右サイドバックでプレーしている。バイエルンのユリアン・ナーゲルスマン監督は「キミッヒは一度も右サイドバックでプレーしたくないなんて言ったことはない」とコメントし、チームにとってそれがベストならばプレーする意志が確かにあることをアピールしていた。
元ドイツ代表キャプテンのバスティアン・シュバインシュタイガー氏も、バイエルンがCL優勝した時にキミッヒは右SBとして活躍した点を取り上げている。
「ヨシュアが右サイドバックとしてもエクセレントなプレーができることを知っている。それに右SBのポジションからでもゲームを組み立てることができる選手だ。相手がセンターの守備を固めてきたら、サイドにクリエイティブな選手が必要だ」
最終的に第2戦のスペイン戦(1-1)では、ズーレをセンターバックに移し、ティロ・ケーラーが右SBに入り、キミッヒは中盤起用が続いた。フリック監督の起用法には引き続き注目したい。
(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。