【W杯】コスタリカ戦、FWが苦しんだ要因は? 元日本代表FW佐藤寿人氏が分析「最終的にはいかにリンクするか」
【専門家の目|佐藤寿人】1トップの上田は機能し切れず「本来のプレーではなかった」
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング24位)は、11月27日に行われたカタール・ワールドカップ(W杯)グループリーグ第2戦でコスタリカ代表(同31位)に0-1で惜敗した。元日本代表FW佐藤寿人氏に、完封された一戦でFWが見せ場を作り切れなかった要因を聞いた。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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コスタリカ戦の日本は、前半に上田綺世、後半に浅野拓磨を頂点の1トップに据えてゴールを目指した。後半にフレッシュな状態で入った浅野は縦へのスピードを見せるなど奮闘したが、先発の上田はなかなか良さが出せない展開。佐藤氏は「単純な比較は難しい」として、上田が1トップで機能しなかった理由を分析した。
「相手が5枚のブロックを作ってきていたなか、上田が生きるとすると、やはりクロスボールに対する高さと強さというところがありますが、なかなかそういう場面がなかった。(チームが)良いゲームの入りができたなかで、少し周りと合わなかったり、ボールが収まらなかったりというところがあったので、プレーのリズムがつかめなくなってしまったのかなというのは正直感じました。本来の上田のプレーではなかったと思います」
また、“FW目線”で「ディフェンスラインの背後がなかなか取りにくい試合展開でした」と振り返り、上田が見せたゴールへのアクションも指摘。「鎌田(大地)が右サイドでボールを持った時に、中央から左に少し離れる動きをしてフリーになったんですが、鎌田は上田を選択せずに右の堂安(律)にパスを出したんですよね。パスの出し手と受け手で共有ができていれば、一つフィニッシュの形になったと思います。チームとしてのダイレクトプレーの意識が、その場面では結果的に作れなかった」と、瞬間的な意識の共有ができなかったとしつつ、実行することの“難しさ”にも言及した。
「一つのアクション、一つのパスで局面打開できる時もあれば、しっかり(相手を)動かしていかないといけないこともある。最終的には、ボールを持っている選手の判断と、受け手の選手のアクションがいかにリンクするかというところになります。その場面ではうまくリンクしなかった。鎌田が上田を見ていれば、鎌田のキック精度と上田のアクションとフィニッシュを考えれば、十分チャンスが生まれて、得点が生まれるような場面だったと思います。
もちろん戦術的なアプローチもありますが、例えば(フランス代表FWキリアン・)ムバッペのデンマーク戦のゴールを見ても、最終的には個人の判断となり、どのタイミングで出す、どのタイミングで入っていくというところになります。得点を奪うためには、出し手と受け手がより合っていかないと難しかったのかなと。特にコスタリカがあれだけ守備を固めているところでは、そう感じましたね」
第3戦のスペイン戦でのFWの起用法はまだ読めないが、ゴールへの意識や動き出しの認識共有を詰めて臨みたい。