【W杯|この試合この1枚】第2戦で明確に表れたチーム&スター選手“明暗” 韓国エースは沈黙、ベイルが不発でイラン歓喜の瞬間も
魅力的な激闘広げたベルギー対カナダ、対照的に不完全燃焼のウルグアイ対韓国
カタール・ワールドカップ(W杯)グループリーグも第2節に突入し参加国の明暗も少しずつ明らかになってきている。23日に行われたベルギー代表対カナダ代表(1-0)はお互いに自分たちの持ち味を出し合う魅力的な展開の90分間となったが、勝負を賭けた試合では、そうした内容となることばかりではない。
好ゲームとなったベルギー対カナダ戦とは対照的な内容となったのがウルグアイ代表対韓国代表戦(0-0)だ。試合前、前日に日本がドイツを破っていたため、プレスセンターでは韓国のカメラマンから祝福を受けた。こちらも「韓国、頑張って」とエールを送ったが、日本の隣国に位置するアジアの虎は南米の古豪相手に手こずることになる。
もともとタフな試合を得意とする両国のため、予想できる展開だったが、激しい守備の応酬に各選手がボールの保持をなかなかできず、ゲームは停滞気味になり不完全燃焼のままタイムアップとなった。
韓国のエースであるFWソン・フンミンもウルグアイの守備の前に得意のドリブルを見せられなかった。対するウルグアイもFWルイス・スアレス、後半からFWエディンソン・カバーニと名のある選手がピッチに立ったが、決定的な仕事ができずに終わった。
25日のウェールズ代表対イラン代表(0-2)では、注目のFWギャレス・ベイルも力を発揮できなかった。ケルト人の末裔たちはチームとしても低調で、サポーターの期待を裏切る結果となった。
対してイランはサポーターに勝利の歓喜をもたらすことになる。その勝利は選手たちの力だけでなく、サポーターの後押しがもたらしたと言えた。
スコアが膠着状態のまま迎えた終盤、善戦する選手たちに向けてイランサポーターたちは大声援を送り続ける。彼らの士気は時間の経過とともに膨れ上がり、ついにウェールズを飲み込んだ。イランの劇的な勝利には、スタンドからの大声援が後押しになったことは間違いない。
これまで取材した試合で内容、成績ともに好調なのはやはりブラジルだ。26日、ポーランド代表対サウジアラビア代表戦(2-0)に向かうプレスバスで、携帯電話を使って母国に情報を送っていたブラジルの記者が同乗していた。第1戦で負傷し交代となったネイマールのことを聞いて見ると、「第2戦は確実にベンチ外になる」とのことだった。
好発進を遂げたチームは調子を維持できるのか。初戦が低調に終わった国にもまだ巻き返すチャンスはある。グループリーグ突破を賭けた各国の戦いは続く。
FOOTBALL ZONE特派・徳原隆元 / Takamoto Tokuhara
とくはら・たかもと/1970年東京生まれ。22歳の時からブラジルサッカーを取材。現在も日本国内、海外で“サッカーのある場面”を撮影している。好きな選手はミッシェル・プラティニとパウロ・ロベルト・ファルカン。1980年代の単純にサッカーの上手い選手が当たり前のようにピッチで輝けた時代のサッカーが今も好き。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。