【W杯】やはりブラジルがいないと始まらない ピッチに現れた“カナリア軍団”で一際輝く“背番号10番”

ネイマールのDFとの駆け引き、プレーの質に終始驚き

 ネイマールをファインダーで捉える。ネイマールの凄さはボールを持ったときのギアの入れ方が多彩で、マークする相手を冷静に見続け、まったく動じず鋭いドリブルと決定的なパスでチームにリズムをもたらすところだ。そのプレーは並ではない。

 さらにマークを受けたとき、ファウルにならないギリギリの際どいフィジカルコンタクトによって、敵の戦う意欲を失わせていくところも上手さを感じる。荒っぽくはなるが、まさにサッカーを知り尽くしたブラジル人ならではと言える技だ。そして、そういったDFとの駆け引きはピッチレベルから望遠レンズを使って彼らを見るカメラマンだからこそ感じる凄さなのかもしれない。

 コーナーキック(CK)の際にはセルビアサポーターにブーイングされても笑顔で返す余裕と不敵な振る舞い。その技術とハートの両面で強さを見せるネイマールを軸にブラジルはFWリシャルソンの2ゴールでセビリアに快勝し好発進を遂げた。ネイマールの負傷による途中交代が気がかりだが、絶対的な強さは他のチームから群を抜いている。

 ブラジルは唯一、ワールドカップ22回連続出場を続ける国である。ブラジルが創り出すサッカーの世界観はやはり見ていて楽しい。ネイマールに代表されるスーパープレーヤーとサポーターの熱狂なしにはワールドカップは成立しないのだと実感させられた試合だった。

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FOOTBALL ZONE特派・徳原隆元 / Takamoto Tokuhara

とくはら・たかもと/1970年東京生まれ。22歳の時からブラジルサッカーを取材。現在も日本国内、海外で“サッカーのある場面”を撮影している。好きな選手はミッシェル・プラティニとパウロ・ロベルト・ファルカン。1980年代の単純にサッカーの上手い選手が当たり前のようにピッチで輝けた時代のサッカーが今も好き。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。

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