【W杯】酷評報道はどこ吹く風? コンテナ宿泊所「ファン・ビレッジ」の実情を調査
中東をゆとりを持って旅する場合にはマッチせず
2人の満足感は高そうだったが、この宿を選ぶ時に考慮すべき点はあるだろう。
W杯を楽しむためだけに来た人には必要十分な設備が揃っているように見える。だが、せっかく中東に来たのだからとか、ゆとりを持った旅を楽しみたいと思う層にはマッチしない。
そんな人には同じ公式業者の別のアパートメント系の施設のほうがいいだろう。実際、同じような値段でゆったりとした2LDKを借りることができる。ただし、アクセスはファン・ビレッジのほうがいいし、外食のためには歩き回らなければならない。同一の値段なら、サッカーのための利便と部屋のゆとりはトレードオフの関係になっている。
また、ファン・ビレッジの半額以下の値段で手配できる宿もある。ただし、最寄り駅までは25分ほどバスに乗らなければならない。ただし、そのバスは24時間、地下鉄と宿泊施設をひっきりなしに往復していて、時間がかかることを除けばベッドとシャワー、トイレのある部屋に泊まることができる。
この大会の特長は非常に狭い範囲で大会が開催されていること。行こうと思えば1日に2試合が可能だ。松崎さんは11試合、杉中さんは9試合に行く予定だという。それだけサッカーに浸ろうと思うなら、交通の便がよく、施設内で食事ができたり、食料の買い出しができるファン・ビレッジは悪い選択ではなさそうだ。
(森雅史 / Masafumi Mori)
森 雅史
もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。