【W杯】日本代表、強敵ドイツ戦の「攻略ポイント」 サウジの大金星が証明、グループ初戦へ“引きすぎ厳禁”
【識者コラム】W杯グループ初戦で激突、ドイツ代表との一戦で日本の勝機は?
日本代表はカタール・ワールドカップ(W杯)のグループリーグ初戦でドイツ代表に挑む。下馬表ではやはりドイツ優勢と見られるが、もちろん日本にも勝機はあると考えている。1つ条件になってくるのが、いかに引かずに戦い抜くかだ。
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サウジアラビア代表がアルゼンチン代表相手にハイラインで挑み、“ジャイアントキリング”を果たした。MF守田英正は「現代サッカーはボールの保持率とあまり比例しないのかなっていうのは思います」と語る。
「やっぱり我慢強さで、最後そこを掻い潜られても、足を出したりとか、キーパーが出ていった時にゴールカバーに入るとか。そういうのが僕たちもできる部分だと思います。ゴールライン最後、割る割らないの部分までちゃんと身体を張れるかどうか」
ただし、4-2-3-1だろうと4-1-4-1だろうと、前からボールを奪おうとすると、ドイツは可変性の高いビルドアップで剥がして、生じたスペースから前選択のパスをつないで縦に運んでくる。そうした可変に徹底して付き合う戦術もあるが、日本はそれを4年半やってきていない。
ドイツの3枚回し、2枚回し、4枚回しに対し、日本は前からのプレスのハメ方ぐらいは事前に共有しておく必要はある。ただ、どこかで諦めではないが、そこに合わせることよりも自分たちのストロングを出す方に矢印を向けないと、どんどん後手に回ってしまうところはあるだろう。
“引かない”というのはがむしゃらにプレスをかけるという意味ではない。自陣に引き込みすぎずに、ミドルゾーンから常にプレスのスイッチをかける準備をしておくこと。そのためにはFWとトップ下の2枚がボールホルダーの行動を限定していく必要がある。
これはかなり体力を消耗するので、90分はおそらく持たない。FW前田大然かFW浅野拓磨のどちらかがスタメンと予想はできるが、FW上田綺世とFW町野修斗も含めた4人がいつでも出られる準備をしておきたい。
攻撃は理想を言えば、高い位置でボールを奪ったところからショートカウンターを繰り出して行きたい。MF遠藤航などボランチからMF鎌田大地やワイドのMF伊東純也、MF久保建英などに素早い縦パスが通れば、3人が仕掛けからラストパス、シュートを狙いやすい。
後半になれば2列目にはMF堂安律やMF三笘薫が投入されることで攻撃は活性化されるだろう。スタートから出る選手のほうは前で勝負しやすい。ただ、そればかりだと全体的に間延びを生んで、ドイツに隙を突かれやすくなるので、中盤の選手がコントロールしたい。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。