【W杯】日本代表GKの序列を考察 実績考慮なら権田、“自然体”貫くシュミットの可能性は?
対照的なレギュラー候補2人の雰囲気 川島は2010年大会の川口能活氏を想起
権田とシュミットの雰囲気は、どこか対照的だ。シュミットは合流初日、リカバリーの意味もあっただろうが、他のフィールドプレーヤーたちとランニングしていたなかで、GK権田は黙々とセービングの練習を繰り返していた。森保監督が話していたように試合の間隔が空いていたこともあるのだろうが、鬼気迫る表情でのトレーニングは、ポジションを死守する覚悟のようにも見えた。
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一方のシュミットは、あくまで自然体。開幕が近づいてきたなか、18日の取材対応時には「今この場所にいられていることだけで、ワクワクしているし、もう一つ夢が叶っていて満足している」という言葉も聞かれた。練習でも、DF板倉滉(ボルシアMG)が給水時に自身のペットボトルを見つけられず、給水をすることなく練習に戻った際には、チームスタッフに「コウが水を見つけられなかったよ」と声をかけるなどの気配りを見せており、いかにチームメイトたちが気持ち良く過ごせるかにも気を配っているように見られる。力んでいない一方で、30歳というGKとしても決して若くない年齢を考えても、もう少し個人として試合出場を切望してもいいようにも思える。
GKの練習の際には、レギュラーのGKからシュートセービングの練習を順番にしていくことが多いため、森保ジャパンの序列を探れるかと思ったが、GK川島永嗣(ストラスブール)から年功序列にスタート。このあたりも今回、森保監督がGKを一つのチームとしてまとめるために、若いGKよりも川島を選んだ理由なのではないかと感じさせられた。
今回の川島には、どことなく2010年の南アフリカ大会にサプライズ招集されたGK川口能活氏のような役割が求められているように思う。この時の川口氏は、楢﨑正剛氏、川島に続く3番手のGKだった。それでも最後まで、一人の選手としてピッチに立つことを目指してトレーニングに取り組んでいたという。
今回の川島にも、過去3大会の経験をチームに還元することに加え、GK陣のまとめ役が期待されているはず。だが、川島は「自分は本当にフラットで、自分が『この立場で何かをしよう、何かをしないといけない』っていう気持ちになったことはあまりない」と言い、「自分にできることがあればチームのためにやる。アドバイスができることがあれば、ゴンちゃん(権田)だったり、他の選手にもする。自然体で、自分が持っているものを出す。プレーもそう。そこを見せなければ、説得力も何もない」と話した。
2010年大会時には川島がレギュラーとなり、4試合すべてにフル出場。川口氏に加え、楢﨑氏も自身の控えに回ったが、「今まで日本を背負ってきた2人だからこそ、そういう姿勢を見せてくれたと、今でも思う。あの時に『だからこそ自分は、2人の気持ちをつないでいかないといけない』と感じさせてくれた」と言い、「今でも自分は2人の存在を追いかけている立場だから、逆にそういうことを2人がしていたから自分もやっていると言われることさえも、僕としてはおこがましい」と言って笑った。
2010年の岡田監督は、最終的にGK陣で最年少の川島をレギュラーで起用した。今回の最年少はシュミットだが、森保監督は最終的に誰をドイツ戦のピッチに送り出すことになるだろうか。