なぜ冨安健洋と三笘薫は活躍できる? プレミア解説者が見た日本人選手2人の“凄み”

ブライトン主将ダンクも「あれほどの一瞬のスピードは見たことがない」と三笘を評価

――守備面での貢献が目立つ冨安選手ですが、今シーズンはELでアシストも記録するなど攻撃面でも存在感を示しています。

「元々、獲得した時点から右SBで使う予定だったと思いますけど、ティアニーが左サイドでどんどん攻撃参加するので、右サイドでうしろに残って変則的な3バックのような形を取るイメージでした。ただ、昨季のデビュー戦だったノリッジ・シティ戦(1-0)では、相手があまり強いチームではなかったこともあって、冨安にも攻撃参加する自由があった。攻撃は彼の一番の特長ではないけれど、最初からそれもできてしまった。それに加えて冨安はジンチェンコのようなプレーもできる。CBと両SB、全くタイプの違う役割をこなす万能性が際立っています」

――今シーズンが初めてのプレミアリーグ挑戦となるブライトンの三笘薫選手も序盤からベンチスタートが続いていたなかで、監督がグラハム・ポッターからロベルト・デ・ゼルビに代わり、スタメンで起用されるようになりました。デビューシーズンからインパクトを残していますが、やはり監督交代の影響は大きかったのでしょうか?

「三笘に関しては、おそらく監督が代わらなくても出張機会は少しずつ増えていったと思います。ポッター前監督の時、ブライトンは本当に高度で特殊なサッカーをやっていました。それが本当にチームとしてハマり始めたのが今年の4月頃です。三笘が先発するまで時間を要することは最初から分かっていました。そうしたなかで監督が代わり、今では試合に出れば活躍できている。デ・ゼルビ監督からも信頼されていますし、何よりもサポーターが見て一番興奮するのは三笘です。第2節のニューカッスル戦(0-0)ではいきなりキーラン・トリッピアーを相手にスリリングなプレーを何度か見せたことが印象に残っていますし、ピッチに立てば面白いプレーを見せてくる期待があります」

――リバプールやトッテナム、チェルシーといったビッグクラブ相手にも素晴らしいパフォーマンスでした。

「先日、ブライトンのキャプテンのルイス・ダンクがインタビューで三笘について『あれほどのアクセラレーション(加速)、一瞬のスピードは見たことがない』と話していましたし、現地の有名なハイライト番組『マッチ・オブ・ザ・デイ』では元リバプールのダニー・マーフィーが、『90分間三笘の活躍を見ていても、彼が左利きなのか右利きなのかさっぱり分からなかった』と言っていました。あのスピードで、しかもどちらの足も同じ質の高さで使えるということで、仕掛けられた相手はどう対応すればいいか分からない。そういう怖さをどの試合でも見せていると思います。先日、カラバオカップのアーセナル戦(3-1)でゴールを決めましたけども、一瞬の技術で相手をかわすスピードが速く、そのあとのフィニッシュも冷静。緩急とコントロール感が本当に凄いです」

――英国メディアでも三笘を絶賛するコメントはよく見られていますし、現地での評価は右肩上がりですね。

「そうですね。プレミアリーグをはじめとしたヨーロッパのトップリーグやチャンピオンズリーグはW杯よりもレベルが高いと思っています。三笘がベルギーリーグで活躍しているのを見ていましたけど、ベルギーリーグとプレミアリーグではレベルが大きく違いますから、最初からこれほどのレベルを見せられるとは正直思っていなかったです。普通は感覚を掴むまでにもう少し時間を要するものですけど、彼は最初から即戦力になっている。途中出場からだけでなく、90分の出場でもそれができている。それは本当に凄いことですよ」

(石川 遼 / Ryo Ishikawa)

page1 page2

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング