プレミアリーグは「世界で一番面白い」 フリークが語る今季の前半戦に“波乱”が起こった訳
3位躍進のニューカッスルのような“サプライズ性”に注目
――クラブ買収で話題になったニューカッスルはアーセナル、シティに次ぐ3位(8勝6分1敗)です。中断直前はリーグ戦5連勝でした。
「ニューカッスルはものすごく大幅な補強をしたというわけではないんですけど、エディ・ハウ監督が既存の選手たちを上手く使い、そこにブルーノ・ギマランイスなどの選手を加えて、強いだけじゃなく魅力的なチームを作っています。近年では見たことないような顔ぶれがトップ4、トップ6、優勝争いに絡んでくるんじゃないかという“サプライズ性”が今シーズンのプレミアリーグにはあります」
――意外なチームが勝っている理由はどんなことが考えられますか?
「もしかしたら、これはカタールW杯による過密日程と変則的な日程の影響もあるのかもしれません。ヨーロッパのカップ戦を戦っているチームと、そうじゃないチームとでは負担の大きさもかなり変わってきます。特にヨーロッパのカップ戦に参加しているチームは、10月下旬あたりからすこし疲労を感じていると思います。先日、ニューカッスル対チェルシー(1-0)の試合がありましたが、敗れたチェルシーのポッター監督は『我々は6週間で13試合を戦っている』とニューカッスルとの違いについて話していました。トップクラブであるほど最高のクオリティーが保ちにくい状況になっていて、それは残念なことかもしれませんが、番狂わせやサプライズが起こりやすくなっているとしたら、それはいいことなのかなとも思っています」
――今、最も旬なチーム、アーセナルについてより詳しく聞かせてください。夏の新戦力であるFWガブリエウ・ジェズスやMFオレクサンドル・ジンチェンコら新戦力が上手くハマっている印象ですが、ベンさんは好調の要因をどのように考えていますか?
「アルテタ監督は以前からプロセス、プロセスと言っていましたけど、その言っていたことが正しかったと証明されたシーズンになっていると思います。昨シーズンの頭から補強のポリシーが変わり、冨安の獲得もその一環だったんですけども、ドレッシングルームの中で悪い悪影響を与えていた選手、例えばオーバメヤン(チェルシー)やゲンドゥージ(マルセイユ)などを少しずつ放出していって、それが完了したところです。一方で、獲得するのは基本的に23歳以下で、移籍金は高いかもしれないけど給与が比較的安く、伸びしろもあるサステイナブル(持続可能性)な選手たち。彼らが成長していけば移籍金は高くなり、それでまたいい補強をすることができますし、彼らが残ればチームとともに強くなっていく。そういったポリシーをアルテタ監督は貫いてきた。その成果が今、見られていると思います」
――トップ4入りを逃し続けるなど苦しんでいたアルテタ監督ですが、就任4年目でついに成果が出始めたということですね。若い選手たちが生き生きとプレーしている姿も印象的です。
「新しくキャプテンになったマルティン・ウーデゴールは、プレーの質が素晴らしいのはもちろんですけど、若いチームの中でリーダーシップをすごく発揮しています。守備陣ではマルセイユから復帰したウィリアム・サリバ。いきなりコンスタントに活躍し、チームにとって大きなプラス要素になっています。また、以前のアーセナルだったらパスを何本もつないでも最後にエリア内で入ってくる選手が少なかったのですが、ウルブス(ウォルバーハンプトン)戦では、ボールが入ってきた時にエリア内で攻める選手が4人も5人もいました。左サイドのジンチェンコ、ガブリエウ・マルティネッリ、ジェズスの巧みな動きと連動性はすごく高度なもので、アルテタ監督が目指すマンチェスター・シティのスタイルと似てる部分でもあると思います」