元主審・家本氏がW杯で注目する森保J期待の6人 「出れば必ず活躍してくれる」重要な“ピース”とは?
【専門家の目|家本政明】強豪ひしめくグループの突破口を考察
森保一監督率いる日本代表(FIFAランキング24位)は現地時間11月23日、カタール・ワールドカップ(W杯)の初戦でドイツ代表(同11位)と激突する。その後も同27日にコスタリカ代表(同31位)、現地時間12月1日にスペイン代表(同7位)との厳しい戦いが待ち受けているが、元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏が独自の視点から“W杯突破の鍵”を考察している。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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日本の現状の立ち位置について家本氏は「多くの方が思っているかもしれませんが、やはりまだ日本はスペイン、ドイツに及ばない部分もあると思います」と現実的な意見を展開。「W杯でベスト16に勝ち上がってくる国は、初戦で勝ち点を取れていることが多い」とドイツ戦の重要さを説きつつ、グループリーグ突破に一番必要となってくるのは「第2戦のコスタリカとのゲーム」だと持論を述べている。
「コスタリカも決して楽な相手ではないですが、ここで勝ち点『3』を取る必要があると思います。ドイツ、スペインが大崩れして勝ち点『3』以下という状況は考えにくい。そう考えると、日本はグループリーグでトータル勝ち点『3』以上を取らなければ決勝トーナメントへの可能性がかなり下がってしまうと思います。3試合のうちある程度計算できるのは、やはり第2戦のコスタリカではないでしょうか」
難しいグループでの戦い方に見解を示した家本氏。そのうえで、W杯で日本の“鍵”を握る選手を複数挙げている。「メッシ、ロナウドのような絶対的なストライカーは日本にいないので、FWよりも中盤でいかにボールを支配できるかが1つのポイント」と指摘し、第一にMF遠藤航(シュツットガルト)をキーマンに指名した。
「(試合中に)脳震とうを起こした影響でコンディションに不安はありますが、ピッチに立てば必ず活躍してくれる選手。人命が関わっているので無理はしてほしくないですが、まずは失点しないという点で中盤の選手が重要になると思います。遠藤選手に加え、守田(英正)選手あたりもですね。また、警告数もシビアな“中盤争い”でグループリーグ突破に関係してくるでしょう」
さらに家本氏は、日本の“弱点”についても言及。「攻守でセットプレーが安定していない」と指摘し、「フィジカルな面でいえば、どれだけプレーできるか分かりませんが冨安(健洋)選手や吉田(麻也)選手あたりが肝になってくると思います」と、空中戦に期待が寄せられる2人の名前を列挙した。
ほかにも、アタッカーのMF三笘薫(ブライトン)やMF伊東純也(ランス)の突破力を称賛。また、17日に行われたカナダとの国際親善試合では、浅野拓磨(ボーフム)、後半から上田綺世(セルクル・ブルージュ)が1トップへ起用されたが、「大迫(勇也)選手がいればと思ってしまった」と不安もこぼした。
強豪国が揃うグループのなかで、日本がどのような戦いを仕掛けるのか。怪我で出遅れる選手もいるなか、森保監督の采配に注目が集まる。
家本政明
いえもと・まさあき/1973年生まれ、広島県出身。同志社大学卒業後の96年にJリーグの京都パープルサンガ(現京都)に入社し、運営業務にも携わり、1級審判員を取得。2002年からJ2、04年からJ1で主審を務め、05年から日本サッカー協会のスペシャルレフェリー(現プロフェッショナルレフェリー)となった。10年に日本人初の英国ウェンブリー・スタジアムで試合を担当。J1通算338試合、J2通算176試合、J3通算2試合、リーグカップ通算62試合を担当。主審として国際試合100試合以上、Jリーグは歴代最多の516試合を担当。21年12月4日に行われたJ1第38節の横浜FM対川崎戦で勇退し、現在サッカーの魅力向上のため幅広く活動を行っている。