森保J、3バックの利点は? 元日本代表FW佐藤寿人氏が指摘「コスタリカ戦をイメージした時に…」

カナダ戦では後半途中から3バックに【写真:Getty Images】
カナダ戦では後半途中から3バックに【写真:Getty Images】

【専門家の目|佐藤寿人】カナダ戦でもテストした3バックの可能性に注目

 森保一監督率いる日本代表は現地時間11月17日、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイでカナダ代表と国際親善試合を実施し、1-2で敗れた。23日のカタール・ワールドカップ(W杯)初戦を控えるなか、元日本代表FW佐藤寿人氏にカナダ戦の収穫と本大会に向けて見えてきたものについて聞いた。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)

   ◇   ◇   ◇

 MF相馬勇紀(名古屋グランパス)のゴールで先制したものの、セットプレーとペナルティーキック(PK)から失点して逆転負け。厳しい結果となったカナダ戦だが、佐藤氏は「内容自体はそれほど悲観するものではなかったかなと思います」と指摘。テストの場ということを踏まえれば、選手の組み合わせやシステムなどの最終確認はできたと言えるだろう。

 様々な要素があったなかで注目したのは、試合途中での3バックへの変更だ。

「個人的には山根(視来)と長友(佑都)がなかなか高い位置を取れていなかったので、もう少し早く3バックに変更しても良かったんじゃないかとは思いました。親善試合ですし、それで少しバランスが崩れても、その部分も含めて予行演習になる。もう少し3バックで見たかったですね」

 サンフレッチェ広島での現役時代には、森保監督のもと3バックシステムで戦った経験のある佐藤氏。カナダ戦の日本の3バックは、その目にどのように映ったのか。

「カナダ戦は伊藤洋輝がいたので、左足で入れられるというところがありました。4バックのサイドバック(SB)としてよりも、3バックの左の時の方が、意外と高い位置に行けていましたし、実際に押し込んでから上田(綺世)に左足でスパッと通したボールもありました。相馬(勇紀)も最初は右でスタートして左に戻るという形でしたが、3バックであれば左サイドはクラブでも普段プレーしているポジション。よりスムーズさがあると思います。

 特に第2戦のコスタリカ戦をイメージした時に、ある程度高い位置にサイドの選手が張り出して、そこから中に入っていくと考えると、3バックの方がいい部分もあるかもしれない。DFの選手が増えますけど、ワイドで高い位置まで持っていければ、センターバック(CB)3枚を使うということはマイナスにならないと思います。試合展開のなかで選手交代して3バックに変更するのもそうですし、選手交代せずにシステムを変えるということも、もしかしたら可能かもしれない。そのための人選も含めて、冨安(健洋)がいるかいないかは大きく関係してくると思います」

 あくまでオプションではあるものの、名前の挙がった冨安、そしてカナダ戦に出場した吉田麻也と板倉滉という潤沢なセンターバック(CB)陣をフル活用できるのも、3バックシステムの強みだ。強力な3バックを形成できれば、中盤より前には攻撃的な選手起用も視野に入る。

「3バックのメリットは、守備面でそこ(吉田、冨安、板倉の同時起用)ですね。あとは攻撃時に両ワイドが高い位置を取れること。必然的にビルドアップでは角度が生まれやすいですし、特に4バックの両ワイドよりもボールを受ける時に角度を作りやすい。点を取りに行く時に、ワイドに高い位置を取らせることで3バックのメリットが出せます。

 該当するワイドのポジションには、相馬であったり、伊東純也であったり、もしかしたら三笘(薫)という選択肢も出てくると思います。3バックが広いスペースでも守れるというのはあると思うので、多少攻撃的な選択でもいい。ただ、ギャップが生まれやすいので、そこはうまくコントロールできないといけません」

 サイドの選手たちが高い位置で仕掛ける形が生まれやすい3バックは、“本職”の相馬が好調を維持していること、ハイレベルなCBが多く存在することも加味すれば、点を取りに行く場合の有力な選択肢となり得る。W杯初戦のドイツ戦は強豪が相手だが、勝ち点1、あるいは勝ち点3を奪うための効果的なオプションとして使えれば、“番狂わせ”を手繰り寄せることも不可能ではないだろう。

(FOOTBALL ZONE編集部)

page 1/1

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング